この記事のカテゴリーは「自然科学」です。ちょっと難しい内容で、しかも、自分でもちゃんと正しく理解できているのか心配も少々。間違っているところがありましたら、ご教示頂ければ幸いです。
難しい話の前に、こちらの、ちょっと驚きの写真をどうぞ。
「王林」という品種のリンゴの花です。回りは収穫間近の「リンゴ」になっているというのにお前ったら、今頃咲くなんて。農家さんはこういうのを「バカばな」と呼ぶのだそうです。
ここで問題です。もし、この後、季節が逆戻りしたような暖かい日が何日も続いたとします。この花はリンゴの実をつけることが出来るでしょうか。
「自家不和合性」という言葉はご存じでしょうか。私は今回初めて知りました。私同様ご存じで無い方のために説明したいと思いますが、ここではリンゴが所属するグループである、「被子植物」というものにしぼって説明していきたいと思います。
植物の雄しべと雌しべは、一つの「花」の中に両方あるものもあれば、一つの株の中に雄花と雌花のあるもの、株自体が雄株・雌株に分かれているものなどがあります。リンゴの花は、一つの花の中に雄しべ・雌しべ両方があるタイプです。でも、雌しべには自分の花粉(同じDNAの花粉)では受粉できないという巧妙な仕組みがあるのです(勿論、例外も多数あります)。それを「自家不和合性」というのだそうです。
なぜその様な仕組みがそなわっているか。それは遺伝的多様性をうむためです。今、人間社会でも「多様性」という事が盛んに言われますが、多様性とは様々な環境に順応できるということですからね。
ということで、先ほどの問題の答えは「ノー」です。では、もしも隣の王林の木に時期を同じくして「バカばな」が咲き、お互いの花粉を交換できたとします。バカップル誕生です。実は生るでしょうか。
こちらも答えは「ノー」です。それは、リンゴには「自家不結実性」というものがあるからです。
例えば、一面「ふじ」だけのリンゴ畑があり、回りは厳重に囲われ、他の品種の花粉は運ばれてこないとします。その場合、「ふじ」は実をつけることが出来ないのだそうです。恐らく、他の木の花粉であっても「ふじの花粉はふじ=自分」と認識し、「自家不和合性」を発揮するのだろうと思います。そのため、リンゴの栽培においては混植、つまり品種の異なる木を必ず一緒に植えなければならないのだそうです。
さらに、注意点がまだあります。
以前、拙ブログで「三倍体」というものについて説明しました。三倍体という染色体の数が変則的なものは、種を作ることが出来ないという内容です。
リンゴにも存在したんですよ、三倍体の品種が!有名なものでは、「北斗」「陸奥」「ジョナゴールド」等です。これら三倍体の品種は他の品種から花粉を貰って実を生らせることは出来るのですが、自分の花粉で他の品種を実らせることは出来ないのだそうです。
先ほど例としてあげた「ふじ」だけのリンゴ畑、そこに「ジョナゴールド」も植えたとします。結果はどうなるか。「ジョナゴールド」は実をつけ、「ふじ」には全然実が生らない、そんな結果になるのでしょう。
うん?ちょっと待って。じゃあ、味は?肝心の味はどうなるの?あと、保存性とか。
「ふじ」の花粉で実をつけた「ジョナゴールド」、「ふじ」っぽい味になるんじゃないの?
「ふじ」みたいに長持ちする「ジョナゴールド」って、聞いたこと無いんだけれど?
話はまだ「実を結んでいない」けれど、長くなったので続きは明日にしたいと思います。お楽しみに。続く。
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