おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

ピカソの言葉から増田明美さんのこと

 12月に訪れた『ポーラ美術館』で、たくさんのピカソの作品を見ました。でも、一番心に残ったのは彼の「言葉」なのです。

 

 ここで唐突ですが、増田明美さんについて、私の中に強く印象に残っているエピソードを書きたいと思います。

 それはかなり以前、テレビのインタビューで彼女自身の口から語られたエピソードです。不確かな部分もありますが、私の中では鮮烈な記憶として刻まれているので、そのままお伝えしようと思います。

 インタビュアーの、「マラソン解説で大人気の」という紹介を受けての増田さんの言葉だったはずです。

 

 「私は現役の頃、本当に嫌われ者だったんです。最後のレースでアナウンサーの方に、増田明美さん、最後のレース棄権でしたって言われて、ああ、私は本当に嫌われてるんだなぁと思いました。今は、増田さんって良くしゃべる面白い明るい人なんですねって言われますけど、もともと本当にお喋りなんですよ。でも、私があんまりしゃべるので、現役の時にコーチから、

 勝ちたいなら、しゃべるな

そう言われたんですね。それを守りました」

 

 孤独の中で自分自身を深くみつめ、自分と対話する。そうする事でしか人は強くなれないし、強くなければ生み出せないものがあるのだろう。あるいは、孤独の先にしか到達出来ない境地というものがあるのだろう。

 ピカソの言葉に触れ、増田明美さんの言葉を思い出し、本当にそうなのだろうと、そう思いますだ。では。

同調圧力って強い

 無言の強制力を持つもの、同調圧力。各種メディアをみるに、日本はこの同調圧力が大変強い国のようです。言い方を変えると、日本人は同調圧力に弱いということになりますね。

 昨日の記事でも載せた下の写真をご覧下さい。

東京国立博物館蔵 国宝 長谷川等伯『松林図屏風』

 言うまでもなく、撮影者は私です。

 この日、1月14日は土曜日ということもあってか、東博は大変混み合っていました。当然、こちらの国宝の屏風の前にも大勢の人だかり。それなのに、他人の頭や後姿に邪魔されることなく、バッチリ撮れています。不思議でしょ?

 この作品に限らず、六曲一双の屏風を端から端まで写真におさめるためには、対象からある程度の距離が必要です。

 屏風を前に皆考える事は同じようで、近づいてじっくりみたいし、どうせなら全体の写真も撮りたい。そうすると面白いことに、その場の2〜30人?の思いが一致したのでしょう、誰も屏風を遮らない一瞬が生まれたのです。

 そうなると、同調圧力なんでしょうね、誰も前に出られなくなるの。

 おばさんはおばさんを呼ぶの法則で、見ず知らずのおばさんに、

「近づいたら駄目なんでしょうか?」

と尋ねられました。

 「いえ、いいんですけど、皆さん遠慮するようで」

 と答えたりして。

 そして、後から入室して来る方で、あまり周りが目に入らないタイプの方がガラスに貼りつかんばかりに近寄ると、我もわれもと皆さん前に出たりして。

 なるほど、日本人らしいなあと思いました。同調圧力ということもあるとは思いますが、「他の人の邪魔をしたくない」という、日本人の価値観も大いに関係したのだろうと思います。

 そして、もう一点。『松林図屏風』には、「近寄ってはいけないのだろうか」と思わせるような、知名度やオーラがあったのだろう、そうも思いました。

 さすが、東博の国宝の中でも人気の等伯。トウハクのトウハクなんてダジャレ好きもびっくりの偶然に脱帽なのです。では。

変則的な絵画の楽しみ方

 昨日はブロンズ像の私的楽しみ方について書いたので、旅行記はいったん中断(でも関係あります)して、絵画についての私的楽しみ方も紹介しようと思います。

 

 1月14日は箱根を朝に発って、東京で、「三井記念美術館」と「東京国立博物館」を回りました。目的は、「お正月ならでは」をみるためです。

 「お正月ならでは」、それは「三井」では円山応挙の『雪松図屏風』、「東博」では長谷川等伯の『松林図屏風』です。どちらも、みたい、みたいとは思いつつ、なかなか機会に恵まれず、また、お正月には毎年出すらしいとは知りつつも、一月に東京に行く事なんて無いだろうと諦めてもいました。

 念願叶った今回の対面。

 結果は、「ああ、お正月した~」という満足感がありました。

 屏風そのものについては、イマイチ。勿論、傑作だとは思いました。技術的な素晴らしさも、素人だって分かるレベルで凄いです。でも変な言い方ですが、最初からあまり期待してはいなかったので。というのは、ちょっと前の記事で書いた、絵を前にして「来た~!」という程の感覚、感動に包まれるという「時」は、予期せずやってくるものだと知っているからです。期待値が高すぎると駄目なんですよね。でも、一縷の望みは持ってそれぞれの屏風の前に立ったのですが、やっぱり「来る」ことはありませんでした。

 でも、『雪松図屏風』はやっぱりめでたさにあふれていました。耳元で「春の海」の琴の音が聞こえます(笑)

 『松林図屏風』は、離れて見るのと間近で見るのとでは印象が全然違うんですよ。

 凄くない?

 そして、松林の遙か向こう、右角に「山」が描かれていると言うことにも、今回初めて気付きました。この山がいいのよ〜。

 本物を見なければ気付くことは無かったかもしれません。こういう、本物を見なければ分からない事って確かにあるし、そして、地方在住者にとっては、「見た」という経験自体が喜びとなります。一生に一度かもしれないもの。

 以上、観光旅行的絵画の楽しみ方です。

 

 そしてもう一つの楽しみ方、それは「良さが全然分からない。この絵のどこがイイって言うの?」と、気になってしょうがない「絵」にこだわるという、訳の分からない楽しみ方です。

 巨匠と呼ばれるような画家の作品を見ても、全然イイとも好きとも思えなくて、ほとんど素通りしてしまうような作品は多々あります。が、良さがさっぱり分からなくて、それなのにその絵が高い評価を受けていることの不思議が気になってしょうがない、妙な惹かれ方をしてしまう、そんな作品・作家もあるのです。

 歴史画の大家とされる安田靫彦(やすだゆきひこ)は、私にとってそんな作家の一人なのです。安田靫彦の画は皆さんどこかでご覧になったことがあるかと思います。

巨匠の日本画 (7) 安田 靫彦

こちらは『飛鳥の春の額田王』という作品です。切手にもなったそうです。

今回「東博」で写真にとったのはこちらです。 ↓

 安田靫彦項羽』。項羽に抱きついて嘆いているのは虞美人(ぐびじん)ですね。

 

 以前もこの絵の前に立って、「どこがいいのかなあ?」と考えた記憶があります。今回もあまり気になる(つまりは惹かれる?)ので、写真にまで撮ってしまいました。

 「色?私はあまり好きじゃ無いなあ」

 「線がいいのかなあ?でも私は分かんないし」

 「構図や人物のポーズも単調じゃない?人体ものっぺりしてるし」

 「この項羽中村獅童に似てるなあ」

と、こんな風にあれこれ考えさせられる、どこか放っておけない魅力が、安田靫彦の画にはあるような、無いような・・・。

 「分かんないなあ」を楽しむ、そんな楽しみ方もあるとお伝えしようと記事を書いたのですが、これはまあ私からの提案ということになりますかね。どうでしょうか?分かっていただけますでしょうか?

 訳わからんヘンテコな提案とお思いの方は、「愚や愚や」と一笑に付して頂ければと思います。では。

ブロンズ像の魅力の一つは

 12月の一泊二日箱根旅の二日目は『箱根彫刻の森美術館』へ。

 ホテルを出るのが遅かったこと、彫刻の森美術館の敷地が広大で見応えがありすぎたこと、そういった事情で、結局この日はここだけの訪問で終わったのでした。

 面白かった〜。時間と体力に余裕を持って、是非訪れてみて下さい。

 上の写真の左側に、金属製の球体がありますよね。この球体はゆっくりと回転しています。そして、ある瞬間には、

球体ではない見え方をしたりと、いつまでも見飽きない面白さがあります。

 こんな風に、同じものでも視点を変えれば違った面白さに出会えるということは、現実にあるものです。例えば…。

 私は以前に、「一点物」の有り難み(希少性)に対して、ブロンズ像は何体でも作ることが出来ると思うと、あまり熱い気持ちで向き合うことが出来ないといった意味の事を、拙ブログで書いたことがあります。

 ところが、今回はその「同じものが作れる」ということの面白さを体験したのでした。

 「彫刻の森美術館」には膨大な数のブロンズ像があり、その中には、「あれ、これと同じものをどこかで見たぞ!」というものが何体もあるのです。そして、どこで見たのかを思い出せたり、スマホで検索してたどり着けたりした時の嬉しさは、芸術鑑賞とは異なるクイズ的面白さがあって、それもまた楽しいのです。

 そして、これこれ ↓

 青森県民なら誰でも分かる高村光太郎『乙女の像』(十和田湖にあります)。見た瞬間、「ウオー」って叫びたくなりました。こんな風に ↓

 どうです?行ってみたくなったでしょう?何回も書きますが、くれぐれもたっぷりと時間をとって行って下さいね。

 なんと言ってもここは、同行の息子その1の言葉を借りますと、「彫刻の森美術館は美術館じゃなくて、彫刻の森!」なのですから。見どころ満載、もりだくさんなのです。続く。 

 ↓ 水に映る私と息子

十二月に旅をすると

 12月の半ば、急に思い立って箱根を旅したわけです。

 箱根に向かうために東京駅構内をグルグルと歩き回っている時、クリスマスツリーを発見!

 そうか、12月だもんね。12月に旅をするとツリーやイルミネーションに出会えるというお楽しみがあるんだな、なんてやっと気付くあたり、確実にお婆さん街道ばく進中です。

 さて、昨日の拙ブログでは『ポーラ美術館』をご紹介しましたが、ポーラの後は、『箱根ラリック美術館』にハシゴしました。フランス人のガラス工芸家、ルネ=ラリックの作品を展示する美術館です。質・量ともに圧倒されるような展示なのですが、残念ながら撮影禁止。でも外観からだけでも、「これはちょっといい感じじゃない?」と伝わるかと思います。

 そして、エントランスに飾られていたクリスマスツリー(撮影可)が可愛くて可愛くて。オーナメントはラリックデザインの香水瓶を模したもののようです。

 一般に、化粧品(特に高級なもの)は容器のデザインもとても大切だと思うのですが、中でも香水はその香りのイメージをさらに膨らませるために、瓶のデザインは重要です。ラリックの香水瓶のデザインが果たした役割の大きさは計り知れないものがあるでしょうね。

 香水には、「香料です。アルコールです。瓶です。三人合わせてパヒュームです」って自己紹介が、ぴったりかと思われます。

 

 さて、アルコールつながりで、もう一つクリスマスツリーを紹介したいと思います。

 ホテルに飾られていたツリーなのですが、ちょっと笑ってしまいました。飲兵衛さんが喜びそうなツリーです。サンタさんがつられて一杯、なんてことになったら大変ですね。「サンタクロース、酔っ払い運転で免停」なんて、子供達の夢がガラス瓶のように脆くも壊れてしまうというものです。

 それにしても、一月が終わろうかという頃にクリスマスツリーの記事を書いているなんて、我ながらなんと間が抜けていることか。どうぞ叱って下さい。「ゴウラ!(強羅)」って。箱根だけに。続く。

箱根は二回目なのでした

 実を申しますと、私は12月の半ばに箱根一泊旅行に行ってきたのでした。一緒に旅をする相手がみつかり、バタバタと出発したのです。

 その相手とは、東京で働く息子その1。有休消化で休みが取れると言うことで、それなら平日に旅行できるね(コロナを鑑み、私は土日の観光地は避けたい)という事になったのでした。諸事情で一泊しか出来ないので、移動が楽な東京近郊がいいだろうと言うことで、有名な観光地・箱根を選びました。

 

 観光地としての箱根は、本当に地の利に恵まれている所です。風光明媚な山(温泉)、湖を擁しながら、海からも近いので食べ物が全て美味しい!特殊な地形のために鉄道・ケーブルカー・ロープウェイ・船など、乗り物好きにはたまらない。東京から近い歴史ある温泉場なので、風格ある老舗旅館から最新の豪華ホテルまで、建築好きもたまらない。

 そして、その「東京から近い」ということがもたらす最大のもの、それは「資本」。

 12月の旅で「箱根に行こう!」となったのには距離の他にもう一つ理由がありまして、それは、「箱根の美術館は凄いらしい」というかすかな知識でした。

 そして、本当に凄かった。素晴らしかった。企業にしろ個人にしろ、「お金」の本気って凄いものです。

 ポーラ美術館では、コレクションの豪華さ素晴らしさに、座る仕事をされているお姉さんに、「素晴らしいですね、良く集めましたね」と声をかけずにはいられませんでした。まさにザ・おばさん。

 お姉さんはニッコリと、「ありがとうございます」と応えて下さいました。

 

 何回も書いていることですが、私は「絵」なんてさっぱり分からない。ただ、自分が好きか嫌いか、その視点で楽しんでいるだけの全くの素人です。ただ、数年に一度程度の確率なのですが、「来た~!」と感じる作品に出会う事があり、その瞬間を夢見て美術館を訪れている、そんな動機もあるのです。

 そして今回、ポーラ美術館で、来た~!

 

 モネの『睡蓮』。今までにも何度か睡蓮のシリーズは見たことがあって、どうもピンとこないというか、あまり好きになれなかった。でも、今回のこの絵は「来た!」

 絵の前に立った瞬間、モワッと包まれた。何だろう?何に包まれたんだろう?湿度は確実に上がった気がしました。

 

 もう一枚。こちらは「来た!」というのではないけれど、一度は見てみたいと憧れていた、岡田三郎助『あやめの衣』。

 絶滅危惧種「日本女性」って感じじゃないですか?そう思うのは、黒髪のせいなのかな、衣装なのかな、ポーズなのかな?いずれにしろ、後ろ姿のせいもあって年齢不詳。

 案外お年を召した方で、にもかかわらず奇跡の美肌なのかも。もちろんお使いの化粧品は「ポーラ」でしょう(笑)。

 

 蛇足ですが、ポーラ美術館ではほとんどの作品が写真撮影も許可されていて、その点でも嬉しい美術館です。後日写真を見るのも旅の大きな楽しみですから。ちなみに、写真はスマホで撮っています。ポーラロイドではありません、念のため。続く。

二回目の一人旅

 真冬とは思えない好天に恵まれたので、12日から14日まで、箱根・東京観光をしてきました。二泊とも、ホテルは箱根に一泊ずつとりました。

 

chokoreitodaisuki.hatenablog.com

 こちらの記事に書いたのですが、一泊目のホテルを予約する際に失敗して、せっかくの全国旅行支援が利用できませんでした。悔しくも情けなかった・・・。そして、どうにか二泊目のホテルでは割引とクーポンのサービスを受けることが出来ました。

 一泊目のホテルで夕食を頂いているときにハッと気づいたのですが、泊まりの一人旅って、61年の人生でまだたったの二回目なのでした。自分では何回も行っているようなつもりでいたのに。

 勘違いの原因で思い当たるのは、ここ数年は家族がバラバラで暮らしているために、家族旅行も現地集合・現地解散というパターンが多く、新幹線や飛行機には一人で乗っていることが多いからだと思います。でも、夕食は誰かと一緒。そういうパターンだったので、食事を一人でする段になって、初めて、滅多に無いシチュエーションだぞ!と気がついたのでした。

 一人で食べる夕食って、ちょっと困るんですよね。私はお酒を飲まないので、会話が無ければただひたすら、凄い勢いで食べるだけ。端から見たら、「あのおばさん、どんだけお腹空いてたの?」とあきれられるだろう食べ方をしてしまうのです。

 もっと困ったのは、お料理が一品ずつ運ばれてくるという方式の二泊目です。食べるのが速いので、次のお料理までに間が開いてしまって、手持ち無沙汰になってしまうのです。そういうとき、私がどうしたか。恥ずかしながら白状しますと、スマホを覗いてしまうのです。ふと見ると、私の隣席の一人旅女子の方も、やっぱりスマホを眺めながら食事をされていました。

 そうかあ、今はスマホを傍らに食事するというのは、一人旅ではありふれた光景なのかもしれないなあ、そんな風にも思いました。でも、やっぱりちょっと恥ずかしく思ってしまうのです。それはきっと、私がお母さんだからだと思います。

 「ご飯中にスマホはやめなさい」

 そう子供には注意するだろうから。

 

 上の過去記事で「若い人の心配をしている場合じゃ無い」と書きましたが、本当にその通り。若い人にお節介出来るような立場じゃ無いんですよねぇ。ちょっと情けなく恥ずかしい旅の記録なのですが、旅の恥は書き捨て、ということで書いておくことにしましたよ。続く。

 

↓ 一泊目のホテルの朝食の、説明付きイラスト。なぜか朝食はゆっくりと落ちついていただくことが出来ました。美味しかった~。