おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

犬山城で話しかけた

 犬山城の最上階である4階は高欄の間と呼ばれ、廻縁(まわりえん、今で言うベランダかな)への出入り口があります。その廻縁からの眺めを楽しもうと、人々は長蛇の列を作るらしいです。らしい、と言うのは、私達が行った時はそれ程の混みようでも無かったので。ラッキーでした。

 

 写真の廻縁を目指し、まず2階まで急階段を上ります。そこまではまあまあの混雑で、「ゆっくり上がる」という感じです。ところが、2階からは階段が狭くなる関係からか途端に渋滞。人混みで夫と離れ離れになりました。まあ、いずれどこかで落ち合えるだろうと呑気に構えることに。

 階段の順番待ちの足踏み状態で外を眺めていると、面白いものを発見しました。

 

 瓦屋根の上の、ひょっとして桃?通行整理の係りの方に質問したところ、

 「そうです、桃です。桃は魔除けの力があると信じられていました。全部で8個あるんですよ。探してみて下さい」

 という丁寧なお答えでした。こういう時、物怖じせず質問が出来る自分の性格を肯定的に思えるんです。後で夫からは、

 「また何か話しかけてるなーと思って見てたよ」

 と、なんだか否定的なトーンで言われましたが。

 3階から4階へは上りと下りの交互通行で、廻縁に出られるまでかなりの時間がかかりました。結果的に夫とは離れ離れのまま、一人で素晴らしい眺望を堪能しました。

 さて、4階で下りる順番を待っている時、歴代城主の肖像が目に入りました。右端が初代。左方向に時代が下っていきます。

 

 だんだん現代に近づいて、あれっ、12代(最後の城主ということですね)城主の成瀬正俊氏、お酒のグラス持ってる!アップにしますね。

 えー、変な人ー、あ、ゴメンナサイ。個性的な方ですね〜。面白〜い。またまた、係の方に話しかけてしまいました。さすがに言葉は選びましたが。

 「最後の城主の方、随分イケメンですね」

 そして、大変面白い答えが返って来たのでした。

 「はい。この方はテレビのCMにも出られたことがあるんですよ。この写真はその時に篠山紀信さんに撮ってもらったものだそうです」

 「!」

 そうなんですか!

 篠山紀信撮影ですか!

 そりゃあ使いますとも。いつだって、どんなときだって「お写真お願いします」と言われたら、私だってその写真を出しますよ。遺影にだって使います。実際、2008年に犬山市で行われた成瀬正俊氏の市葬に使わています。正確には、市葬で使用され、その後犬山城天守に飾られてるのだそうです。

 こんな面白い情報に出会えるなんて、「物怖じせず話し掛けられる性分で良かった」

 またしてもそう思うのです。そして、夫と離れ離れになったのも、功を奏したと思うのです。隣に夫がいたならば、

 「最後の殿様、面白いね。普通、こんな写真を飾ろうと思うかな」

 などと言い交わして、係の方に話し掛けたりしなかったと思います。怪我の功名?良かった良かった。

 昔の『タンスにゴン』のCMを思い出しましたよ。

てんしゅ元気で留守がいい」ってね。続く。