おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

リンゴには驚かされることばかりだ 2の続き

 「一日一個のリンゴは医者を遠ざける」というイギリスの諺があるそうですが、最近の私は一日一個以上、食べています。元気です。

 以前にも書きましたが、私は「千秋」という品種が大好きで、お手伝いに行っている知人からたくさん頂いたので、柔らかくならないうちにと思いセッセと食べています。もうすぐ、主力品種「ふじ」の収穫が始まりますが、「ふじ」も大好き。しかも、「ふじ」は保存が利くという点が大変な優れものなのです。

 

 さて、昨日の続きです。リンゴは「自家不結実性」があるので、異なる品種同士で受粉させるのが必須条件だというところまで書きました。

 そして、自分の中で出てきた疑問が、「それじゃDNAが混じってしまって、それぞれの品種の持ち味の無いリンゴが生ってしまうんじゃないの?」ということでした。

 私の友人で「ジョナゴールドの酸っぱさが好き」という人がいます。彼女が「ふじ」の花粉で生った「ジョナゴールド」を食べたとき、ふじ花粉のDNAの影響で酸っぱさが少なくなっていたら、きっとがっかりするでしょうね。また、パリッとしたリンゴが好きな私が、2月になって、物置から「ふじ」を出してきて食べたところ、ジョナ花粉の影響で柔らかくなっていたとしたら。がっかりです。「ああ、これはもう煮リンゴだ」となってしまいます。

 注 青森県の冬の物置は天然の冷蔵庫なので、リンゴの置き場は物置が定番

 注 煮りんご、私のレシピ - おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

 

 では今日の本題に入ります。皆さん、昔学校で習った、「花」の構造を思い出してみて下さい。

 外側から順に、がく、花びら、雄しべ、雌しべ。思い出せますよね。そして、今日はそこに新しい言葉「花托(かたく)」を加えて下さい。花托は花床(かしょう)とも言うそうですが、「がく」から始まる、「花」として今まで私達がひとかたまりに捉えていた部分が乗るところなのだそうです。 

 下の図は、花託の三種類のタイプを示しています。赤のgは、雌しべとその奥にある子房です。子房は果実になる部分であり、また、その内部で卵細胞と雄しべの精細胞が受精して種が形成される部分でもあります。

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上の図はWikipediaから。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%B1%E6%89%98

 

 グレーのrが、「花托」です。子房との位置関係で三つのタイプに分かれますが、リンゴはこの中のⅢのタイプになります。

 先ほど、「子房は果実になり、その内部に種が出来る」と書きました。では、りんごの果実とはどこでしょうか。

 実は、私達がリンゴを食べる際に残す、あるいは取り除く、種を取り囲んだ芯の部分、あれがリンゴの本当の果実なのです。他の品種の花粉(DNA)を受け継いでいる部分でもあります。

 そして、私達が普段「果実」だと思っている部分は「花托」が成長したものであり、「偽果(ぎか)」とよばれるものなのだそうです。当然そこに含まれるDNAは「ふじ」なら「ふじ」だけのものです。花粉のDNAに影響されること無く、「ふじ」100%の味わいになるわけですね。「DNAが混じって持ち味の無いリンゴ」ができるのではというのは、全くの杞憂だったわけです。

 

 今回、ちょっとしたことからリンゴについてネットを漁っていたら、思いがけず驚きの面白い知識を得ることが出来ました。私にはとてもワクワクとした、ニュートンもかくやと思うような展開だったのですが、如何でしたでしょうか。お楽しみ頂けましたら、或いは「になった」と思って頂けましたら幸いです。では。