おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

「疱瘡」と書いて「いも」と読む

今週のお題「いも」

 

 二年ほど前に焼き芋の美味しさに目覚めまして、サツマイモが店頭から姿を消す真夏を除き、自宅グリルで焼き芋を楽しんでいます。 

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 今秋も、紅優甘(べにゆうか)・安納紅・安納こがねなど、美味しく頂いております。でも今日の内容は、そんな皆大好き美味しい「いも」についてでは無く、いもはいもでも嫌われものの「いも」についてです。

 

 タイトルに書いた「疱瘡(ほうそう)」とは「痘瘡(とうそう)」とも呼ばれますが、「天然痘」のことです。単に「痘(いも)」とも呼ばれ、「疱瘡」と書いて「いも」という読み方もされます。ワクチンというものが発明されるまでは、誰もが普通に罹り、そして致死率も高い(Wikipediaでは20~50%)伝染病でした。

 WHOは1980年に撲滅宣言をだし、根絶に成功したとされています。天然痘は致死率も非常に高いのですが、命が助かったとしても、顔に醜い瘢痕が残ります。その瘢痕をあばた(あばたもえくぼの、あばたです)と言いますが、昔は「いも」という言い方もされたそうです。ヨーロッパでは、肖像画を描く際にはあばたは描かないのが暗黙の了解となっていたそうで、あばたはあるのが当たり前なほど、多くの人にあったようです。 

 でも、それは決して軽い後遺症では無く、「疱瘡は見目(みめ)定め、麻疹(はしか)は命定め」という言い回しがあったほど、あばたは顔の美醜を大きく左右したようで、女性は言うまでも無く、男性もひどいあばたに悩む人は珍しくなかったようです。

 夏目漱石もその一人です。漱石は予防のための種痘が原因で天然痘に罹り、鼻の頭にあばたが残ってしまったそうです。若い頃は気にして、随分悩んでいたようです。

 でも、これから紹介するお話は、45歳になって、あばたなど大して気にもならなくなった漱石の逸話です。漱石の門人の行徳二郎という方の日記に記述があるそうです。その内容をかいつまんで紹介するのですが、先に、勝ち気な妻として有名な鏡子夫人の頭には、かなり大きなハゲがあったということを、予備知識として入れて置いて下さい。

 

 話の流れから、鏡子夫人が漱石に向かって、

 「あなたの鼻のあばたも、こすれば少しはよくなるんじゃない?」と言いました。

 漱石はすました顔で答えました。

 「いいんだよ。このあばたで女が寄ってこなくて、女難よけになってるんだから」

 「それにしたって」

 なおも言いつのろうとする夫人に漱石は言います。

 「このあばたがあるから、お前みたいな女房で我慢しているのさ」

 鏡子夫人は言い返します。

 「そのあばた顔ですから、ハゲでちょうどお似合いでしょう」

 

 私はこのお話を知った時、「わー、すごい。漱石があばたを気にしてた事を知ってるのに奥さんったら。こすれば、なんて、まさに当てこすりだわー」と思いました。

 

 今週のお題「いも」に乗っかって「疱瘡」と「あばた」の話を書きましたが、その理由は、今私達は、withコロナという時代を生きているからです。考えてみれば人類の歴史は感染症(伝染病)との戦いの歴史でも有り、「現代」が例外と言うことはないわけです。でも、科学的知識の乏しかった「昔」とは違い、私達は「正しく怖れ」なければならないと思うのです。感染予防を心がけるのは勿論、ウィルスを憎んで患者を憎まず。誹謗中傷などしないよう、噂話などに惑わされることのないよう、心がけたいと思います。では。