大沼周辺を中心とした散策が終わり、帰路につくことになりました。途中、産直のお店をのぞいたり、大館でラーメンを食べたり、おばさん四人の楽しい旅は賑やかに続きます。
最初に書きましたが、私は全くの「お客様」気分で、皆さんの「ああしましょう、こうしましょう」に、ただ乗り状態なのですが、次々と珍しい体験がやってくるのでした。
「風穴ドライブインのところに寄りましょう」
誰からともなく言い出して、『長走風穴』を見物することになりました。
長走風穴(ながばしりふうけつ)とは、秋田県大館市長走にある風穴である。風穴周辺の標高は約165メートルと、比較的低い標高帯であるにもかかわらず、風穴から吹き出る冷たい風の影響により、周囲の植生とは明らかに区別できる高山性の植物が生育しており[1]、指定名称長走風穴高山植物群落として1926年(大正15年)2月24日に国の天然記念物に指定されている Wikipediaより
風穴というものはなんとなく知ってはいました。記憶が曖昧なのですが、どこかの山(岩木山だったような?)で、岩の隙間を「ここは風穴だよ」と誰かに教えられ、吹き出してくる冷たい風を手に受けたような、そんな体験をしたこともあります。
ところが、今回見物した長走風穴はそんなチャチなものではなくて、産業利用もされていた立派なものでした。見応えタップリで、本当に面白かったのです。
「風穴」とは様々な要因によって岩石の空洞から風が吹き出してくるものを言いますが、その風は、夏は冷たく冬は暖かく、「物が腐らず、凍らない」温度を維持できるのだそうです。そのためここ長走風穴は、倉庫として利用された歴史があるということでした。
現在は使用されていない、かつての倉庫入り口です。入り口前に立ちますと、冷たい風が吹き付けて来て、不思議な雰囲気に包まれます。人工の風とは異なる、嫌じゃない冷たさ。夏にこの倉庫の前に寝転んだら天国だろうな、そんな感じです。
風穴の周辺は夏の気温が極端に低いために、高山性の植物が生えると言うことですが、その内の一つ、ツルリンドウを見ました。赤い実をつけていました。下の左の写真です。
また、右の写真の植物はウツボグサだと思うのですが、ウツボグサは山地に普通に見られる植物で、高山植物ではないと思います。夏に花をつけます。
今年8月に、津軽岩木スカイラインで八合目に登った際、咲き残りの花を目にしました。岩木山八合目(1,238m)でさえ八月に終わる花が、今頃咲いているなんて。風穴周辺の気温の低さを実感しました。
「風雪に耐えて」という表現がありますが、このウツボグサは「風穴に耐えて」十月に花を咲かせたという、長期興行の花と言うことになります。
何を言いたいかと言いますと、長期興行=ロングラン=長走というダジャレなのです。(風穴からの風のような冷たい目を向けないで~)
風穴王・佐々木耕治氏を称える看板が建っていました。○○王という称号は良く聞きますが、風穴王とはちょっと面白いと思いました。
看板を読んでみますと、
「主に青森県の津軽林檎を貯蔵し、出荷時期を調整して東京方面へ出荷」
とありました。
「悔しい」
これが私に最初に浮かんだ感想でした。津軽の農家が苦労して作った林檎を安く買い、東京に高く売って儲けるなんて。うまいことやりやがって。チクショウー。
自分でも変な性分だとは思うのですが、浮かんでしまったものはしょうがありません。悔しいものは悔しいのです。
巌窟王ならぬ、偏屈王ですね(苦笑)。
でも最初に書きましたように、風穴見物はとっても楽しかったのですよ。お友達に感謝、感謝なのです。
さて、五回にわたって綴った八幡平への日帰り旅行。
私にとってはまさに収穫の秋とも言うべき実り多い一日でした。読者の皆さんにも楽しんで頂けましたらとても嬉しく思います。お付き合い下さり、有り難うございました。では。