おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

棟方志功は「わだば・・」と言ってないから

 まず、津軽弁の「だば」について説明したい。

 肯定文中の「だば」を標準語に訳すなら、「なら」ということになると思う。

例1  リンゴ だば く  (リンゴ なら 食べる)

例2  おめ だば やれる  (お前 なら やれる)

 例1は、いくつかの等価の選択肢の中からリンゴを選んでいる「だば」で、例2は抜きん出た者として選んでいる「だば」であろう。英語で言うなら、例1はChoose、例2はSelectって感じかな?

 

 世界的版画家と言われる棟方志功青森県出身である。彼の残した有名な言葉として、「わだばゴッホになる」というものがある。(わ=私、俺)

 この「わだば」に関して津軽弁ネイティブの中では疑念が持たれている、というのを以前何かで読んだことがある。「わだばゴッホになる」は「俺ならゴッホになる」という、自負心に溢れるというか傲慢というか、そういった意味に聞こえるからだ。そして、生前の棟方志功を知る人々は「志功はそんな人柄ではなかった」と言うのだ。

 

 今朝のNHKEテレ『日曜美術館』で紹介されたアーカイブ映像に、およそ50年前の棟方志功のインタビューがあった。棟方志功ゴッホの絵が、中でもヒマワリの絵が好きで好きで、

 「わは、ゴッホになる。わ、ゴッホになる、そう言って青森から東京に出てきた」と、訛った標準語で答えていた。

 「わだばゴッホになる」がどこから出てきたのかはわからないが、少なくとも音声では「わはゴッホになる」と言っていたのは間違い無いだろう。些細な違いかも知れないが、青森県人としては胸のつかえがおりたような、さっぱりとした心持ちになった。

 

 大昔のコーヒーのCMに「違いが分かる男」というのがあったが、今朝の私は「違いが分かった女」になった気分だ。ダバダ~ダバダ~♪ では。