おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

津軽弁で替え歌を考える際の障壁

 全くの偶然でこちらの動画を聞いたところ、大変感動してしまったのです。

 


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 朝倉さや(民謡日本一)という方の歌唱動画です。「Youtubeで見る」をクリックして、是非お聞きになってみて下さい。

  

 歌っている曲は『木綿のハンカチーフ』で、それを山形弁で、というところがこの動画の肝なのでしょうが、そんな事は抜きに、とにかく上手い!あまりに上手くて、聞いていて涙が出たほどです。早速、家族・友人にURLを送ったところ、友人の一人から次の様な返信がありました。

 「うまいもんだね。津軽弁でやってみる?」

 津軽弁かあ。実際に歌う場面はないけど、考えるのは面白いかも。ちょっとやってみるか。

 そんな軽い気持ちで昨夜、取り組んでみました。そして、標準語の歌詞を津軽弁にするには、いくつかの難しいハードルがあると気付いたのです。そこで、私が昨夜考えに考えた、津軽弁と標準語の関係についての研究結果を披露したと思います。お付き合い下さい。

 

[テーマ]

  標準語の「歌詞」を津軽弁に訳す際の難しさ

[訳す際の条件]

  歌詞に忠実であることよりも、津軽弁としての違和感の無さを重視すること

  実際に歌えること 

[考察結果]

  標準語を津軽弁のフレーズに訳す際には、難しさの段階があり、それは大きく次の六段階に分類することが出来る。最も簡単なものを第一段階とし、以下に具体例をあげる。

 

 第一段階 標準語と津軽弁が完全に一致しており、そのままで違和感が無いもの

      絵の具 星 ダイヤ 指輪 探す 染まる 送る 等々

 

 第二段階 標準語に意味・音数ともに合致する津軽弁があり、そのまま置き換えることが可能なもの

      僕=オラ 君=オメ あなた=オメエ いいえ=なもや 寝転ぶ=ながまる わがまま=からきじ ねだる=はだる 下さい=けでけへ (助詞の)に=さ 等々

  

 第三段階 標準語と意味は合致するものの、音数が合わず、工夫が必要なもの

      列車=汽車 都会=上(かみ) 欲しい=欲し ハンカチーフ=手拭ぎ でも=だばって 等々

 

 第四段階 アクセント位置が異なると違和感が大きすぎる(標準語に聞こえてしまう)ため、そのまま津軽弁としては使えず、言い換えが必要になるもの

      愉快(にアクセントがあってこそ津軽弁

      素顔(にアクセントがあってこそ津軽弁) 等々

 

 第五段階 津軽にも存在はする事物だが、対応する津軽弁はなく、かと言って標準語では違和感があり、同じ意味の別な「言い回し」を考える必要があるもの

      旅立つ 贈り物  はなやいだ 見間違う 煌めく 街角 キス 等々

 

 第六段階 津軽には存在しないものなので、同じ意味の別な言い回しも不可能なもの(意訳的な、別な言い回しにするしかないと思われる)

      木枯らし ビル街 (ねえ、涙ふく木綿の)の、ねえ 

[まとめ] 

  以上の一から六の段階に応じてあれこれ知恵を絞ってみたが、掲げた条件から外れたものが一つある。それは、一番から四番の歌詞までで必ず最初に登場する、「恋人」という名詞である。「恋人」は私の区分では第五段階に属する。津軽にも「恋人」は存在するが、その人物を「恋人」と称することはないと思う。ではなんと言うのだろうか?困ってしまった。

 恋人を津軽らしい言い回しにするとしたら・・・。「付ぎ合っちゅう人」だろうか。他には全く浮かんでこない。でも、それでは字余り過ぎる。

 ここはそのまま、違和感は大ありだが「恋人」のままで行くしか無いだろう。涙を流しながらの苦渋の決断。心境はまさに下記のごとしであった。

 ♪ たんだ、涙ふぐ木綿の 手拭ぎごっと  けでけへ 

   手拭ぎごっと けでけへ

  (ねえ、涙ふく木綿の ハンカチーフ下さい ハンカチーフ下さい) では。