おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

ぬるいぞ!『なつぞら』

 下の記事にも書きましたように、私は朝ドラは、突っ込みどころを探すという、いわば姑根性で楽しむことに致しました。そう割り切ってしまえば、多少気に入らないところがあったり、はて?と首を傾げざるを得ないような場面も、まあ我慢できます。

chokoreitodaisuki.hatenablog.com

 

 でも、今回は「貧しさ」というものについて、ちょっともの申したい気分なので、いつも通り、あちこちから書いてみたいと思います。

 

 「美少女戦士セーラームーン」という、20年以上前から女の子達に大人気の漫画・アニメがありますね。ウチは男の子が二人なのであまり視た記憶がないのですが。

 以前、ネットで読んだのですが、この漫画には「貧乏」というものが登場しないのだそうです。なぜかというと、作者の武内直子氏が大変裕福な家庭の出身で、貧乏というものを知らないので、描くことが出来ないからなのだそうです。

 また、今から十数年前の私の職場での経験なのですが、ちょっとぼかして書きます。集金になかなか応じてくれないお客さんがいて、その事を隣の席の30代の男性にぼやきました。

 私 「お金が無いって言って、払ってくれないのよ」

 同僚「お金が無いなら、銀行に行って下ろしてくればいいじゃないですか、ねえ。」

ああ、この人は育った家庭はもちろん、親戚一同も「ちゃんとした」家ばかりで、貧乏や借金と言ったものを見聞きすること無く育ったんだろうな、と思いました。

 

 私は昭和30年代に、貧しいド田舎に生まれ育ったので、「貧乏」は知っている方だと思います。漁師町で、各家に畑もあるのが普通だったので、食べるに事欠くということはありませんでしたが、「現金収入」は貴重でした。

 そんな環境で育った子どもは、自然に親に遠慮するということを覚えます。自分の為に親にお金を使わせることは申し訳なくて申し訳なくて・・・。もちろん、欲しいものは欲しい、我慢できない、手に入れるまで諦めない、そういう子どもも中にはいたでしょうが。ちなみにそういう子どものことを津軽弁・下北弁ともに、『ごんぼほり』と言います。ごんぼ(牛蒡)を掘るのは手がかかって大変だということから、とされています。

 『なつぞら』の脚本家さんは、昭和42年、神奈川県生まれの方でした。そうでしたか・・・。

 例えば、十勝の酪農家の一家の洋服がいつもキチンとしているとか、のぶさんがはるばる東京から十勝に訪ねてきたり、反対に、なつと母さんが東京に気軽に行くとか、まあそういったことは些末なことであるし、ストーリー展開の都合上許せます。でも、なつや「てんよう君のお兄さん」の「お金がかかること」にたいする無頓着ぶりは目に余るものがあり、二人の人間性といったものに大きな「?」がつくのです。

 なつと母さんが東京に行き、高級店「川村屋」で食事をしていた時、偶然「てんよう君のお兄さん」もやってきます。物慣れた態度で。以下、私の心の声です。

 あんたさー、あんたの弟、あの中卒の弟はさ、帽子、シャツ、ズボン、全部ツギの当たったもの着て、必死に家業を手伝って、親のために頑張ってるよ。スキー大会だって、手作りのスキー板で出たんだよ。あんた、何考えてチョイチョイ「川村屋」でご飯食べてんの?川村屋の「カリー」食べるとき、親や弟の顔が浮かんだりしないのかね?あげくに、あんた自分より絵の才能がある弟のこと、「あいつはズルい」って言ったよね。それ、芸大に進学させてもらったあんたが言う台詞?ちょっとこの人、人格障害を疑うレベルかも。

 

 なつについては、そのあまりの「人たらし」テクニックに驚嘆しているのですが、その事については次回に譲り、今は次のエピソードに絞って書きたいと思います。

 いよいよ上京したなつ。上京一日目、なつは無邪気に雪次郎君のお父さんに言います。

 「歌を聞きに行きませんか?」

 あんたさー、「歌を聞く」って、只じゃ無いって知ってるよね。しかも、あのお店は安くはないだろうということも、分かってるよね。さらに分かってるのは、お金は雪次郎君のお父さんが出してくれるってことだよねー。なつ、恐ろしい子・・・。

 

 あまり貧乏について実感がない脚本家が他意無く書いた、お金に無頓着な場面や台詞。いちいちツッコむのは無粋かもしれません。でも、ちょっとした台詞や仕草から、登場人物の性格や感情を読み解くのはドラマの大きな楽しみの一つでしょう。せっかくのスーパーヒロインぶりに瑕疵がつく、うかつな台詞、ちょっと見過ごせないんですよね~。

 

 そう言えば、ゆみこちゃんの台詞にありました。「なつの厚かましさ(笑)」。さすが、ゆみこちゃん、見抜いてます。そして、見抜いた上で、なつを受け入れる度量の広さ。「大学に行きたい」とごんぼは掘っても、農家の娘でありながらジャガイモ一つ掘ったことがないゆみこちゃんには、これからも勉強一筋、頑張って欲しいものです。では。