おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

食べ物を言語化する人

 昨日のブログで、私は「見たものを言語化したい人」であると書きました。そして、それつながりで思い出したのですが、知人で、食べ物についての言語化が非常に巧みな人がいるのです。簡単に言いますと、食べ物の話をしていると、しばしば

 「上手いこと言うね」

と感心してしまうのです。私の備忘録もかねて、是非、紹介させて下さい。

 

 知人「天ぷらという調理法の旬は春だと思う」

 私 「どういうこと?天ぷらは一年中美味しいじゃない」

 知人「そうなんだけど、でも最高に美味しいのは山菜の天ぷらだと思う。蕗のトウとかさ、春の山菜の苦みを最も美味しく食べるための調理法、それが天ぷら」

 私 「はあ、そうすか」 

 

 知人「ここの天ぷら美味しいよね。昔は天つゆ好きだったけど、やっぱり塩だよね」

 私 「あ、ちょっと分かる。塩で食べる天ぷらに比べて天つゆはくどさがあるかも」

 知人「そうそう。そして、ここの塩が美味しいんだよね。フルーティーで」

 私 「フルーティー!ごめん、ちょっと分かんない」

 

 知人「穴子って、好きなんだよね」

 私 「へー、私は本当に美味しい穴子を食べたことがないせいか、ウナギの下位互換って感じ」 

 知人「これがねぇ、いい穴子を食べると、鰻は焼く意味が、穴子は煮る意味が分かるんだよねぇ」

 私 「はぁ」

 

 どうでしょう。好きこそものの上手なれと言いますが、本当に美味しいものを食べるのが大好きな人で、その「好き」が生む表現力なんでしょうかね。勿論、味わうという能力があってこそなのでしょうが。これからもどんな言葉が聞けるのか、楽しみです。しっかり味わわせていただきたいと思います。

 最初にこの知人の語録を紹介するにあたり、ただ「知人」とするのではなく、イニシャルも入れようかと考えたのです。が、登場人物が私と二人っきりなので、イニシャルを入れるまでもないかと思い直し、ただの知人としました。

 でも、もしもイニシャルを入れるとしたらですが、その場合は本当のイニシャルではなく、「I」(アイ)にしようと思いました。

 『知人のI』by谷崎潤一郎、ということで(笑)。では。