おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

ゆうれい展(ギャラリー森山)へ その1

今週のお題「暑すぎる」

 

 夏は幽霊の季節ですね。なんでかな~と考えてみるに、薄着でも大丈夫だからじゃないでしょうか。モコモコと暖かそうに厚着した幽霊って様にならない気がします。

 

 弘前市の『ギャラリー森山』で夏恒例の「ゆうれい展」が開催されています。暑すぎる夏にぴったりかと思い、行ってみました。

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 「幽霊」の描かれた掛け軸や、子供達に地獄の恐ろしさを教えるための閻魔大王と地獄の様子を描いた絵など多数展示されていて、来館者も結構居て、ちょっとびっくりしました。全員がマスクを着けて幽霊画に見入っているって、どこか異世界感あります。

 

 展示されている作品の中から気に入った物を紹介したいと思いますが、私はもういい歳の「大人」で、幽霊の絵をみても「きゃー」なんて気持ちにはならないので、「面白い」と思ったものを紹介したいと思います。

 生放送中に、閉じていた目が開いたと有名になった正伝寺の『渡邉金三郎断首図』もありましたが、私は紹介しないので、「それが見たかった」という方は下のYoutubeでどうぞ。

 

www.youtube.com

 

 一番面白いと思ったのは、歌川国芳の浮世絵関連の「怖可愛い」ものです。

 入り口(内側)にかけてある、のれんがまず可愛い。国芳の『見立東海道五拾三次岡部猫石の由来』に描かれている妖怪『猫又』です。

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 こちらは猫又のキャラクターグッズということになるんでしょうね。妖怪・猫又の特徴である二又に別れた尻尾が、ネコの軽妙な踊りに一層の躍動感を加えています。手ぬぐいがまたいいですね。

 「猫又」は歳を経た飼い猫が妖怪になったものと言われます。人間も年をとると、被っていた「ねこ」を脱いでみたり、時には又被ったり。器用に二又の処世術で、「何かようかい?」なんて涼しい顔でいくのも粋というものかもしれません。

 

 同じ国芳に「金魚づくし」という浮世絵シリーズがあるのですが、その内の二枚が飾られていました。

 「金魚づくし」は金魚を擬人化して人間の生活の一コマをユーモラスに描いているのですが、よく見ると、確かにどこか怖いというか不気味さもあるのです。金魚が人間の真似をしているけれど、どうにもただの金魚では無いような、どこか妖怪じみた金魚に見えてくるのです。

 

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 タイトルは「ぼんぼん」。江戸時代、お盆になると女の子達が手をつなぎ、ぼんぼんという唄を歌って歩いたという、夏の風物詩を描いているのだそうです。金魚の他に鯉や蛙もいます。団扇に見立てた網を手にしていたり。可愛いでしょう?でも、どこか不気味でもあるでしょう?

 もっと不気味度が高いのがこちら ↓

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 タイトルは「酒の座敷」。踊っている金魚が、豪華な振り袖をお引きずりにして艶やかに袖や裾を翻しているようで洒落てますね。すくい網の三味線を弾いている金魚がいかにも「年増」な感じなのもいいです。そして、葉っぱの盃でぐいとお酒を飲む金魚、相当酔ってます。これ以上飲んだら、金魚ではない何か恐ろしい本性を現わしそうなのです。この金魚をじっと見ていると、だんだん怖くなってくるでしょう?

 個人的に一つ残念なのは、「さけの座敷」なのに、サケが居ないことかな(笑)。

 

 初めは「ゆうれい展でなんで金魚づくし?」と思ったのですが、だんだん不気味でぴったりに思えてきたのでした。続く。