暑いですね。でも、弘前は「猛暑」というほどではなくて、時間帯を選べば命の危険なくウオーキング出来るといった程度です。
二、三日前、夕方に運動公園を歩いていると、なんだかいい匂いが漂ってきて、「あ、これはカツラの木の匂いだ。間違い無い」と思いました。去年の秋、ずっと何だろう何だろうと思っていた匂いの正体を突き止めることに成功したので、自信を持って自分に断言できました。
そしてそう、カツラの木の匂いは秋の匂いなのです。まだまだ暑いけれど、やっぱり秋は身近にやって来ているのです。
そんな事を思いながら、カツラの木の向かい側に植えられているトドマツを眺めていたとき、ちょっとした異変に気付いたのです。
ぐるりとトドマツが植えられているのに、2本だけフォルムが違うのです。クリスマスツリー状と言いますか、他のトドマツのように枝がスカスカしていないのです。
一瞬の後、つる性の植物が巻き付いているのだと気付きました。なんという繁殖力旺盛な植物だろう。そう思いながら近づいていってみると、その正体は「クズ」だったのです。上の方に花が咲いていて、それで分かりました。
クズは秋の七草の一つ。そうか、もう秋草の咲く時期なんだ、秋なんだねえ。
それにしても、トドマツのてっぺんまでも届くクズの勢いは凄まじく、一般的にこれほど育つものなのかと思い、調べてみて余計にビックリしました。
クズの原産地は日本、中国、朝鮮半島と言った東アジアなのだそうです。確かにクズは成長が早く荒れ地でも育つため他の植物を圧迫するのですが、これらの原産地では冬には寒さで地上部分が枯れてしまうので、特に大きな問題となることは無いようなのです。
ところが、1800年代後半に日本からアメリカ合衆国に園芸用としてクズが紹介されると南部で大人気となりました。また、飼料用、土壌保全用としても栽培が奨励され、その結果大繁殖したクズは「南部を飲み込んだツル」と呼ばれるまでになり、送電線・建築物・固有の植物など、多くが犠牲になっているのだそうです。現在ではアメリカにおいてクズは侵略的外来種として広く認知され、その駆除のために莫大な予算が投じられているものの、成果ははかばかしくないようです。
今回クズについて調べてみて一番ショックだったのは、自分が「侵略的外来種」という言葉について、一方的に被害者のような気分で居たことです。小さな島国に暮らす自分たちは「持ち込まれる側」で、常に被害を受ける側という思い込みがありました。加害側に回る可能性を想像しもしない。これも一つの島国根性というものでしょうか。こんな情けない事実をよりによって「クズ」に教えられるとは。いくらダジャレ好きの私であっても胸中は複雑なのでした。では。