おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

蜂蜜と石けん

 日本で一番最初に新婚旅行に行ったのは、坂本龍馬夫妻だそうですね。

 新婚旅行は蜜月旅行とも言いますが、これは英語の「ハネムーン」を直訳しています。ハネとはハニー、つまり蜂蜜で、ムーンが月です。単純に「新婚は蜜のように甘~い月日だから」なのだろうと思っていたのですが、今回これを書くために調べましたところ、そのいわれは、遠く古代ヨーロッパまで遡ることを知りました。

 古代から中世にかけてのヨーロッパでは、新婚の夫に『蜂蜜酒』を飲ませる風習があったのだそうです。「頑張って子づくりに励んでね」という意味で。多産の蜜蜂にあやかりますように、という願いも込めて。その、蜂蜜酒を飲んで頑張るおよそ一ヶ月間を「ハネムーン」と称し、やがて新婚旅行がハネムーンと呼ばれるようになったのだそうです。

 30数年前ですが、友達のお兄様が結婚され、新婚旅行はフランスへ。そしてめでたく「ハネムーンベイビー」を授かったそうです。そのお兄様いわく、

 「うちの娘はメイド・イン・パリ」。

 

 ここからが本題です。なぜ急に「ハネムーン」の話など始めたかと言いますと、新しい石けんを出そうとして、突然『資生堂ホネケーキ』という懐かしい単語が「降りてきた」からなのです。

 今の私は浴用石けんで顔も洗っているのですが、中学生の頃は『資生堂ホネケーキ』という、美しい透明なルビーレッドの洗顔用石けんを愛用していました。その頃は、「ホネケーキ」ってなんだろう?骨のケーキ?などと不思議に思いながら使っていましたが、いつとはなしに「ホネはハニー、ケーキはひとかたまりの物をさす」と、英和辞典のように私の中に答えが定着していました。

 ハニーが「ハネ」になったり「ホネ」になったり、英語を日本語にうつすのは、なかなかの折れることですね。

 

 さて、田舎の中学生であった私が「資生堂ホネケーキ」を愛用していたのには単純な理由がありまして、決して「おませさん」だったわけでも、美容に関心の高い「家庭」だったからでもありません。むしろその逆だったからです。

 私が白髪頭でも平気で暮らしていることは以前書きましたが、それには多分に母の影響があるのだと思います。私もあまり身なりに構わない方ですが、田舎の専業主婦であった母は、骨の髄まで無頓着な人で、白髪頭はもちろん、いつでもどこでもスッピン。畑仕事で日焼けした顔は水洗いで済ませ、基礎化粧品なども、ほとんどつけないような人でした。

 実家は自営業を営んでおり、昭和40年代・50年代は「贈答文化」が盛んな頃。お中元・お歳暮の時期には関係の業者からいろいろなものが届きます。石けんのセットとか。その中には、くだんの「資生堂ホネケーキ」も入っていたりするわけです。すると、母は上に書いたような人なので、自然に私が使うという流れになりました。

 石けんの他にも、母のあまりの無頓着ぶりをみかねた叔母達がクリームや化粧水をプレゼントする事がありました。それらも、少し使ったあと、母は面倒になるのでしょうか、私のところに回ってきていました。

 あれから、幾星霜。気がつけば白髪頭の私。浴用石けんで顔を洗い、馬油を塗ってお終い。蛙の子は蛙と言いますか、亡き母と大差ない無頓着ぶりです。でも、母との大きな違いはここからです。私はお化粧はします。なぜなら、私が住んでいるところは大都会・弘前市なのですから。

 

 懐かしい「資生堂ホネケーキ」、今もあるのかしらと思ってググったところ、嬉しいことに、ロングセラーとして知る人ぞ知る人気商品なのだそうです。しかも、ルビーの他にグリーン・パープルの三色展開で、その香りの良さから贈答品としても人気なのだとか。旧友の元気な便りを聞いたような、ホントに嬉しい気持ちになりました。

 

 ちょっとした思い出話を書くつもりが、長くなってしまいました。お付き合い下さってありがとうございす。

 最後に蛇足で、「ハネムーン」の語源に関するもう一つの説を紹介します。

 「新婚の愛に満ちた時は、月が欠けていくように失われていくものだから・・・。」

石けんの泡のような、儚い説ですね。では。