おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

海とBCG

今週のお題「海」

 

 50年近く前(半世紀!前)の記憶です。

 私の通った小学校では夏休み直前、水泳教室がありました。水泳教室とは言っても、学校から徒歩10分の津軽海峡に全校生徒で行き、準備体操の後はフリー。勝手に泳いだり砂に埋まったり。いつも浮き輪でプカプカしていた私は、いつまでたってもカナヅチのままでした。

 そして、この水泳教室のちょっと前には、ツベルクリン反応の検査が行われており、陰性の子どもにはBCGの接種、いわゆる「はんこ注射」ってやつがありました。私はいつも陽性だったので、私の腕には「はんこ注射」の痕はありません。

 今から考えれば俗信というか、なんの根拠もないものだったのでしょうが、「はんこ注射」を受けた人は、そのまま海に入ってはいけないという教えがありました。ではどうするかというと、はんこ注射を受けた部分に包帯を巻けば大丈夫と言うことになっていたのです。

 同級生の女の子で、この「はんこ注射」を受け、水泳教室の時に包帯を巻いている子がいました。最初はきちんと巻かれていたのでしょうが、泳いだり遊んだりしているうちに包帯はゆるみ、ぐずぐずの状態になりました。そうすると、その子のお姉ちゃん、(2、3歳年上だったろうと思います)がどこからともなくやって来て、その子を呼ぶのです。そうして、「包帯が緩んでいる」と心配そうに声をかけ、丁寧にまき直してあげるのです。

 お姉ちゃんって、あんなに優しいんだ。

 その幼い姉妹の体を寄せ合っている姿は、背後の海以上にキラキラとして、半世紀たった今でも、なんだか忘れられない光景なのです。私には弟が二人ありますが、自身はちっとも優しいお姉ちゃんではなかったという点が、余計にあのお姉ちゃんの優しい姿を印象深いものとしているのかも知れません。

 

 話は変わりますが、1974年以前に生まれた人の腕には、疱瘡(天然痘)の接種痕がありますね。私の接種痕は右腕のかなり上、肩に近い部分にあり、ノースリーブでなければ見えません。それは、接種の際に、母とお医者さんが「女の子だから半袖で見えないように、なるべく上に」と配慮してくれたからだそうです。「そうです」と伝聞形で書くのは、母の口からそう聞かされたからです。私の記憶にはあるはずのない光景ですが、お医者さんにお願いしている母の姿が目に浮かびます。

 母はとても厳しい人で、恐かったというのが一番に浮かぶ母の思い出なのですが、私の種痘痕は目に見える母の優しさの形なのです。

 

 海の思い出、夏の思い出。不思議とセンチメンタルなものがありますね・・・。では。

 

(最近はブログのネタ切れで、今日の記事も苦しんで書きました。うみの苦しみってヤツです)