車の中でラジオを聞いていたら、青森県外ヶ浜町の伝説として、「雁風呂」(がんぶろ)の話題が。懐かしいなあ。
このCMが放送された当時、私は中学生だったわけですが、子供心にしみじみとした情趣を感じた名作だったなあ、という記憶があります。同じ青森県とは言っても津軽から遠く離れた下北半島で生まれ育った私は、「雁風呂伝説」が青森県のものとは知らず、後年大いに驚いたものでした。
ナレーションを要約します。
雁は、口に木の枝をくわえて海を渡って来る。
飛び疲れるとその枝を波に浮かべ、止まって羽を休める。
海を渡った津軽の浜辺。雁は枝を残していく。
冬の間、南で過ごした雁は早春、北の国へ帰る。再び津軽の浜で枝をくわえて。
浜には、帰る事が出来なかった雁の数だけ枝が残る。
村人はその枝を集めて風呂を焚く。
しみじみと美しい伝説ですね。CMの最後は、「哀れな話だなあ。日本人て、不思議だなあ」という台詞で締められます。
今日、ある集まりに行きましたら、知人からりんごを頂戴しました。
私は、りんごは家にたくさんある(頂きものです)ので、辞退したんです。でも、知人は、
「いいりんごじゃないの。小鳥につつかれたのを選んで持って来たから、全部くちばしのつついた痕がついてるの。でも、絶対に美味しいから。小鳥は美味しいのを知ってるから。貰っていって」
そういうことならと、1個だけ貰って帰りました。食べました。チョー美味しいの!美味しいりんごは有り難いことにしょっちゅう頂くのですが、何というか、味が濃い!?
「小鳥がつついたりんごは美味しい」は、津軽の伝説では無く、紛れもない事実のようです。1個と言わず、もっと貰えば良かったと後悔している、欲深な私です。
雁は遙かに海を渡る旅でも、持ち物は小枝一本。
小鳥はあんなに美味しいりんごを頂くのも、ほんの嘴の先分。
人間の欲深さは、全くもってよくよくのことですな。では。