おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

キツツキが来たりて

 今更ですが、私は青森県弘前市という地方都市に住んでいます。割と街中です。徒歩圏内にデパートもあります。

 にもかかわらず、家の裏にはよその畑があり、立派な「実の成る木」が何本も立っています。そのためでしょうか。今年は何度かキジを目撃しました。かなり驚きました。でも、嬉しい驚きでした。思いがけない野生の生き物を目にするのは、心がワクワクする体験です。

 

 息子その1が小学生だった頃、次の様な無邪気な発言がありました。

 「この前、ベランダをキツツキがつついていたよ」

 私は苦笑いしながら言いました。

 「キツツキっていうのは山の中にいるんだよ。こんな街中にはいないんだよ」

 察しのいい読者の皆さんは結論がお分かりでしょう。それからしばらくして、私は息子その1に謝まることになりました。

 「だから、僕、言ったじゃん」

 ちょっとへそを曲げては居ましたが、息子その1は許してくれました。

 私とキツツキとの出会いは、その時たった一度のものでしたが、驚愕の一語に尽きました。

 それは日曜日の朝の事でした。家族はまだ眠っていて、私一人がリビングに居ました。お隣さんが日曜大工でもしているのでしょうか、トントントントン・・・と釘を打つ音が軽やかに聞こえてきます。初めは「お隣さん、随分頑張るなあ。休み無しだ」そう思っていたのですが、「おかしい!」、そう気づきました。釘ならば1本の分の長さを打ち終われば間があく。なのに、このトントンはずっと続いている。ハッと思い当たってベランダに出て音のする方をのぞくと、目が合いました、キツツキと。そして、すぐ次の瞬間、キツツキは飛び去って行きました。

 息子その1に詫びた後、「キツツキいるよね」と興奮して語り合い、再びのキツツキとの出会いを期待したものの、月日はむなしく流れ、あれ以来その姿を見ることはありませんでした。

 そして、今年。

 仕事をやめて日中家に居ることが多くなった私は、裏の畑にやってくる小鳥を眺めるという、ささやかな楽しみを得ました。あるとき、「あの鳥は変だ、他の鳥とは何かが違う」、そう感じる一羽を発見しました。ああ、目が悪いのが残念。でも、何が変なのかは分かりました。普通、小鳥というものは「枝」にとまるのに、あの鳥は「幹」にとまっている。

 キツツキ?ひょっとしてキツツキ?一生懸命目をこらすと、頭が赤いのが分かりました。キツツキだ。およそ15年ぶり2回目という、まるで甲子園に出場するかのようなキツツキの登場でした。

 

 日中、私がリビングでくつろいでいると、ベランダ(我が家のベランダは木製なのです)から聞こえて来るトントントントン・・・。しょっちゅうではないのです。半年の間に3、4回という程度です。なんとか写真に撮りたいと思うのですが、窓を開けた瞬間、飛び去ってしまいます。危害を加えるつもりなど毛頭無いのに。どちらかと言えば、ベランダに穴を開けられているこちらの方が危害を加えられているというのに。

 皆さんも、妙に長いトントントンが聞こえたら要注意ですよ。知らない間に大穴を開けられたりしたら大変ですからね。

 

 ということで、写真という証拠はないけれど、我が家にキツツキがやって来るという報告です。ホントです。嘘つきじゃ無くてキツツキの話です。では。