随分昔に聞いた、津軽弁の「冗談」を紹介します。
在の方のラーメン屋さ行ったのさ。「お待ち遠様でした」って、ラーメン持って来たっきゃ、そのかっちゃの親指、ダシさ浸かってるんだって。
「かっちゃや、かっちゃ。親指、ダシさ入ってまってら」たっきゃ、
「ヤゲドしねはんで、大丈夫だおん」って。こんだ。どんだっきゃ。
標準語訳
田舎の方にあるラーメン屋に行ったんだよね。「お待ち遠様でした」って、ラーメン運んできたら、その女将さんの親指、ダシに浸かってたんだよね。
「女将さんさ~、親指がダシの中に入っちゃてるよ」って言ったら、
「やけどしないから、大丈夫ですよ」って。そこ?そこなの?
多分、標準語で読んでも面白さは伝わらないと思うんですよ。
津軽弁の魅力がどこにあるかといいますと、「言外に語られるもの」の豊穣さなんですよね。標準語では伝わらない、「田舎さ加減」であるとか、ラーメン屋の女将さんの「年配感」とか、「すっとぼけ感」であるとか。
実は最近では、青森県でも方言は衰退の一途をたどっており、若い人の中からは「津軽弁はわからない」とか、「意味は分かるが、自分では使わない」という声が聞かれます。そんな中で、流ちょうな津軽弁で語られる「冗談」は、気取らない、サービス精神旺盛な、語り手の「ひととなり」まで伝えてくれるんですね。
このラーメン屋さんには、シリーズ2もあります。
「お待ち遠様でした」ってラーメン来たっきゃ、ハエ入ってたんだって。
「かっちゃや、かっちゃ。スープの中さ、ハエ入ってらね」
「なんも、ハエっこだっきゃ、わんつかしか飲まねおん」
標準語訳
「お待ち遠様でした」ってラーメン来たら、ハエが入ってたんだよね。
「女将さんさ~、スープの中にハエが入っちゃってるよ~」
「大丈夫。ハエは少ししか飲まないから」
皆さん、あくまで冗談ですからね。
念のため書きますが、青森県でもハエがはいったラーメンは、勿論アウトです。ハエは英語で「フライ」ですから、アウト!は当然でしょう。
↓ 最後は美しく。今日の岩木山の夕景は神々しかった。では。