青森県はリンゴの産地として有名ですが、津軽地方では夏の暑さをいかして、自家用程度であれば様々な果物が採れるのです。桃、梨、サクランボ、プルーン、イチジクなど。でも、流石に冬の果物である蜜柑は無理ですね。収穫の遅いリンゴだって、11月の下旬にはリンゴもぎを終えられるよう農家は頑張ります。雪との競争なのです。雪の中の作業は辛いですからね。
『江之浦測候所』の周囲は蜜柑畑が残っていて、『江之浦測候所』内を歩き回りながら12月の輝くような蜜柑が見られるのです。
「いっぱい落ちてる。落ち実は売物にならないんだろな。リンゴと同じで」
「袋をかけてる蜜柑がある!高級品は袋をかけるんだ、リンゴと同じ!」
初めての蜜柑畑をみて喜びつつ、リンゴ畑と比べてしまうのは、リンゴ栽培に携わる端くれの端くれだからですね。
ちなみに、「蜜柑」畑は初めてですが、12月にたわわに実るオレンジは見たことがあるのです。10年ほど前になりますが、スペインのバレンシアで。本物のバレンシアオレンジですね。街路樹としてオレンジが植えられているのですが、品種はマーマレード用の苦いオレンジなのだそうです。盗難防止のためにそのままでは食べられないものを植えているのだそうです。
『江之浦測候所』にも、「蜜柑は取らないでください」という立札がありました。ちょっと酸っぱい注意書きですね。
写真は『江之浦測候所』の中に残してある、かつての蜜柑運搬用の設備です。
「これ、テレビでみたことある!」
蜜柑畑は急な斜面を利用して(石垣を積んで)いるので、収穫した蜜柑を運ぶのも重労働。そこで、こういう設備を利用したのでしょう。わかるなあ。リンゴも山の斜面のものは美味しいとか言われるけれど、山の畑での作業は大変なんだよねえ。端くれの端くれながら、共感です。
雪と寒さの青森県と違って、冬でも温暖な地方では、12月の陽を受けて蜜柑が鈴なり。つくづくと日本も広いなあと思いますね。
『江之浦測候所』を歩いていて撮影したのですが、カラスウリです。名前は知っていましたが見るのは始めて。綺麗な赤でした。こんな風に小さなものでも、見たことのない物を見られる、そんなこともやっぱり旅の喜びの一つです。
『江之浦測候所』をあとにして、レトロな雰囲気漂う根府川駅から電車で湯河原へ。昼食を食べることにします。
息子その1がネットで見つけたお豆腐屋さんが経営するお店。写真は納豆汁定食。濃厚な納豆汁は勿論美味しかったのですが、小鉢のお料理がどれもこれも美味しくて、お箸が止まらない。お味にナットクのナット汁なのでした。四人全員大満足。
ちょっと驚いたのは、息子達も納豆汁とか麦トロとか、なかなか渋い食べ物を喜ぶようになったんだーということです。
日常から離れて同行者、子供達や夫、そして友人の思いがけない一面を知る、そういったこともまた、旅の面白さに数えられるのかも知れません。続く。