おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

江之浦測候所

 江之浦漁港を見下ろす丘の上。かつては3,000坪の蜜柑畑だったそう。その地に芸術家の杉本博司氏が、自らの感性・美意識を注ぎ込んで作り上げた屋外型美術館が『江之浦測候所』です。

 完全予約、1日2回入れ替え制。見学料3,300円。行くべきです。私達は12月とは思えない穏やかな天気の日に訪れました。本当に気持ちのいい時間でした。でも、雨の日も見てみたい、そう思わせられる場所なのですから。

 

 長さ100mのギャラリー。杉本氏の写真が展示されています。100メートル歩いて到達するのは海抜100mの展望スペース。

 ↓こちらの眺めになります

 写真右側に四角く突き出しているものがあるのは、お分かり頂けますでしょうか?

 男性の立っている場所がその突き出しているものです。私も男性と同じ位置に立ったのですが(そこまでは許可されています)、かなりドキドキします。

 その茶色い物の正体はトンネルでして、

 トンネルの先端は海に向かって開いているのです。そして、一年に一度(何という贅沢!)、冬至の日の出が、この隧道を貫くのだそうですよ!

 と聞けばですよ、夏至は?夏至の日の出の太陽光は?と思いますよね。

 答は最初に紹介した100mギャラリー。

 夏至の朝、海から昇る太陽の光は数分間に渡ってギャラリーを走るのだそうです。

 

 こちらは『雨聴天』と名付けられたお茶室です。お茶室の入口(にじり口)からは、春分秋分の陽光が、日の出とともに差し込むそうです。

 そのにじり口の前、何か光っていますよね。沓脱ぎ石として置かれた巨大な光学ガラスです。

 「本当に水が流れているみたい」そう思いました。私の写真や文章ではその見事さを伝えきれないのが残念でなりません。この沓脱ぎ石だけではありません。江之浦測候所の素晴らしさが、私の力ではお伝え出来ないのです。でも、美術館なのになぜ測候所なのか、その答はお分かり頂けたのではないでしょうか。

 『江之浦測候所』は見学時間が3時間と決まっていて、じっくりと回っていては3時間では味わい尽くせない魅力があるのです。機会がありましたら是非訪れて見て欲しいです。ご自身の五感をフル動員して浸って頂きたい、そんな屋外美術館なのです。

 

 最後にとっておきの一枚をお見せします。「なんでも思ったことは口に出す性格で良かった」と、自画自賛もしたいと思うので。

 かつての蜜柑畑の道具小屋が整備されて、化石等の展示棟になっていました。案内係りの方もおられました。

 

 こちらの化石が不思議で不思議で。普通、化石ってこんな風に立体的ではないでしょう?係りの方に聞かずにはいられませんでした。

 「あの〜、この化石はバラバラだったものを組み立てたということなんでしょうか?」

 「いいえ、そうではないんです。この形で石の中に入っていたんです。慎重に慎重に長い時間をかけて石を削って、この状態で掘り出したものなんです。普通の化石ではなくこの形状であること、展示の仕方、そういったことを含めて杉本の美に対する意識なんです」

 ちょっと記憶が曖昧な部分もあるのですが、大筋では合っていると思います。唸らさせられませんか。

 繰り返しますね。皆さん、是非訪れて見て下さい。ソッコウ、とは言いませんから。(測候所ですけれどね 笑)続く。