おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

小田原市江之浦に泊まる

 一泊目は小田原市の江之浦というところに見つけたホテルに泊まることにしていました。というのは、翌日は『江之浦測候所』という憧れの美術館見学の予約をとっていたからです。ホテルから『江之浦測候所』までは徒歩15分ほどかな。皆荷物はあるけれどゆっくり行けば大丈夫、そう考えて選んだホテルでした。ところが、とにかく凄い坂道が延々続くのです。真鶴駅からホテルに向かうタクシーの中で運転手さんに聞きました。

 「明日は江之浦測候所に行くんですけど、ホテルからずっとアップダウンの道ですか?」

 「いえいえ、ホテルからはずっと登り坂です」

 明朝は車で、と以心伝心。無言で全員一致でした。

 写真は翌日、『江之浦測候所』から撮ったのですが、眼下に大きく見えている建物が私達が宿泊したホテルです。小さなホテルですが、素晴らしい眺望のホテルなのです。

 

 ホテルのお風呂は別棟にあって、外に出て歩いて行くのですが、私がお風呂から出て部屋の前で目にしたのは、波の上に浮かぶ月光の帯でした。すぐに部屋に入って大きな声で言いました。

 「皆、外に出て、カメラ持って!」

 ダラダラとお酒を飲んでいた男三人は面倒臭さそうに私をちら見して、「はぁ」と気のない返事。

 「いいから早く早く。本当に見る価値あるから」

 互いに顔を見合わせ、諦めたように部屋から出てきた三人、私の示す方向を見て、

 「おー!」

 まことにケッコウ、そう思ったのではないでしょうか、月光だけに。

 

 私の生まれ故郷は海辺の村でした。海を照らす月の光は子供の頃から見慣れたものでした。それでも、見るたびに幼心ながら神秘の思いに打たれていた(ような気がしています)。息子達にとっては初めてみる光景でした。ああ嬉しや。自分が子供の頃に見て胸打たれた光景を我が子に見せられるというのは大きな大きな喜びです。

 さて、明日は今回の旅で私イチオシの『江之浦測候所』に行きます。三人とも気に入ってくれるかな?『江之浦測候所』へ向かう道同様、このまま旅が登り坂であることを祈りつつ、私は眠りにつくのでした。続く。