26日(日曜日)で終了したのですが、弘前市立博物館の新版画展が面白かったです。
以前、拙ブログにて「絵は一点物の有り難みがあるが、ブロンズ像にはそれがない」という、いかにも俗物な感想を書いたことがあります。同じことは版画にも感じていて、「素敵!」とか「面白い!」と思う作品はあるのですが、例えば北斎や広重であっても、肉筆浮世絵や油絵や日本画のように熱心には見れないのです。
今回も、「どうもやっぱり版画は壁に飾るより、手にとって目近にじっくり眺める、そのぐらいの方がふさわしい」気がしたのでした。
でも、新しい魅力の発見もいくつかありました。例えば、伊東深水の美人画の魅力に改めて気付かされたり。何ていうんでしょうね、清々しい色気?男性の理想の女性像って感じです。
また、展示作品は撮影禁止なのですが、エントラスのこちら ↓
川瀬巴水『旅みやげ第三集 出雲松江』という3部作なのですが、左から、「曇り日」、「三日月」、「おぼろ月」というテーマです。この三つは版画ならでは、という作品なのですが、お分かりですか。
実は、同じ版木を色を変えて刷っているのです。実物は三枚が同じ額に入っていた(はず)ので、見比べる面白さもあって、版画にはこういう技もあるのだなと、これは「絵」には無い版画独特の魅力だと思いましたねえ。
そして、もう一つ、気付かされたことがあります。
弘前最勝院の塔は17世紀に完成し、「東北地方一の美塔」なんて評判もあるようで。版画では上が切れていますが、五重塔なんですよ。で、私が今更何に気付いたかと言いますと、
「大雪が降った後の五重塔の屋根を見たことがない」
ということなんです。そもそも、南の方にお住まいの方は、版画のような「雪の積もった五重塔」すら、想像したこともないと思うんです。
どうです、皆さん。大雪の後の五重塔。興味ありますよね?来年早々、大雪が降ったあかつきには、私が最勝院に行ってきます。そして、雪の中の五重塔を写真に撮り、皆さんにお知らせしたいと思います。
版画展から思わぬ方向に話しが進んでしまいましたが、これもブログを書いていればこそ。私もブロガーぶりが板についてきたということかも知れません。版画だけにね、ということで。では。