おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

化け猫より怖い、鍋島焼の話

 京都旅行記、今日もお休み。

 

 昨夜、遅い時間にNHKBSをみましたら、『ゴッドハンド』という、復元師の仕事に迫る番組がちょうど始まったところでした。壊れた陶磁器を元通りに(本当に元通りに)修復するという、彫刻家と画家の仕事を合わせたような超絶技巧を持つ、父と息子、二人の復元師。その仕事ぶりは、見ている方が胃がキリキリとするような、細かく微妙な、緊張の連続の時間なのです。

 なぜなら、修復師のもとに持ちこまれる作品というものは、修復するに値するようなもの、簡単に言いますと、美術館に入るレベルの作品だからです。失敗は許されないというとんでもないプレッシャーのもとでの仕事なのです。

 昨夜の番組では二点の修復がとりあげられましたが、鍋島焼の第十四代今泉今右衛門氏から依頼のあった鍋島焼のお皿の再修復について、書きたいと思います。

 再修復と書きましたが、その皿は何十年か前に大きく欠けてしまい、その時に一度修復されているのだそうです。ところが、時を経て、変色がおこり、ハッキリと修復あとが分かるようになってしまったと言うことでした。今右衛門氏からの注文は、当然、修復が分からないようにということ。そしてもう一点は、使用によって色のとれたところがあるが、そこは直しつつも、ある程度の使用感は残して欲しい、それがこのお皿の歴史ということですから、という、なんとも難しいものでした。

 

 そもそも鍋島藩とは現在の佐賀県鍋島藩の化け猫騒動と、焼き物(有田・伊万里)が有名です。あと、タレントのはなわ?(笑)

 そして伊万里焼のうちでも、藩の窯で焼かれた、殿様や他の大名家への贈り物専用の、最高級磁器を鍋島焼というのだそうです。

 その中でもこの皿は、青磁に色絵という組み合わせの希少性、絵柄の完成度の高さと、名品中の名品と言ってもいいお品らしいです。

 

 と、私が色々書き連ねていくよりも、テレビ画面を撮影した写真をご覧下さい。

 左が再修復前。上のほうが色が変わってしまい、青磁の澄んだ緑色ではなくなっています。右下の赤いハタキのようなものが、だいぶ色落ちしています。

 右が再修復されたお皿です。

 現在61歳の今右衛門氏も、このお皿は修復後の状態しか見たことがなく、元の姿を見るのは初めてですと、感無量の様子。そして、淡々とお皿が割れたいきさつを話されました。

 「このお皿を撮影させて頂きたいというお話があって、貸し出したそうです。

 お皿を真上から撮ろうとされたんでしょうね。カメラマンの方が、レンズかカメラを落とされたんだそうで」

 ギャー!

 背中が総毛立つって、あの感覚ですね。皆さんも、キャッとされたでしょ?化け猫より怖い話でしょう?では。