おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

夜の梅と『紅白梅図屏風』

 前回の結びを「続く」としておきながら、長く間をあけてしまいました。ごめんなさい。続きです。お付き合い下さい。

 

 有名な「とらや」の羊羹に『夜の梅』という名前の商品があります。黒い羊羹に浮かぶ小豆の粒を、夜に咲く梅の花に見立てて名付けたのだそうです。何という風流な!夜の梅を見たことのない私ですが、目に浮かぶようだと思いましたね。

 でも今回、私はその思いを改めました。夜の白梅はそんな控えめなものじゃない、特に月光の下ならなおさら、きっとこんなふうに主張するに違いないと。

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 ちょっと美術館の方に物申したいんですけど、順路に従って館内を進みますと、光琳の『紅白梅図屏風』より先に、こちらの屏風が目に飛び込んでくるんですよね。それって良くないと思う。やはり、最初に本家の屏風を見て、それからこちら、時間の流れとしても、昼の梅をみてその後に夜の梅を見るというのが宜しいかと思うのです。

 こちらの夜の梅があまりにインパクトがあって、「ああ凄い、月に照らされて、夜の梅はきっとこんな風に輝くのだろう」なんて、しばらく立ち尽くしてしまうものだから、光琳の屏風が幾分かすんでしまった感があるのです。

 

 が、さすが国宝(ミーハーなので)、十分な迫力がありましたとも。

 紅梅の勢い、老木に咲く白梅の儚げな美しさ。屏風の中央を大胆に流れるデザイン化された水の動き。斬新ですよね〜。ウメーもんだ、なんてダジャレを言うのも失礼というもんです。

 

 私と夫がこの屏風の前に立ったときは人の流れがちょうど途切れ、しかもMOA美術館は写真撮影可なので、二人して大喜びだったのです。かつて津軽家のものだった屏風、世が世であれば私達など到底お目にかかる機会などなかったでしょう。それがこうして目近で拝見できるというのは、本当に喜ばしいことだと思います。皆さんも梅の季節には是非こちらを訪れ、この屏風をご覧になって下さい。

 これぞ国宝、尾形光琳ここに光臨、そんな感じの屏風なのですから。では。