おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

えっ、顔を知らないのに?

 今日の記事はタイトルが全てです。

 熱海のMOA美術館で下の美人画を見ていた時の事です。

 説明書きにあるとおり、上の三幅の絵は、清少納言紫式部小野小町という平安時代の有名な三人の女性を江戸時代風に描いた作品です。

 私の後ろにいたカップルの会話が聞こえてきました。

 彼女「どれが誰だか分かんないね」

 彼氏「そうだよね。顔もおんなじだし」

 

 え、なんか変じゃないですか?彼氏さんの発言。

 仮に三人の顔を全く別々に描いてあったとします。それで分かります?だって、誰も三人の顔を知らないのに…。

 私は一瞬、エッとなって、その後ジワジワ来ました。もちろん、心の中でですが。 

 でも、ちょっと考えてたみたんです。上の絵は三人のエピソードにちなんで描かれていて、一応どれが誰かは分かるようにはなっています。そこをエピソードではなく想像の顔で描き分けるとしたらどうなるか。

 当然、一番美しく描かれるのは小野小町。二番は紫式部。失礼ながら三番目が清少納言ということになるかと。

 これってどうも、描かれる側は勿論、見る側も気分のいいものではないように思います。昨今のルッキズム批判というわけではないのですが、顔で序列をつけるというのは失礼千万、描く側の品位が疑われますよね。

 「顔はおんなじ」

 でも、簾を掲げる清少納言、執筆中の紫式部、花の色を眺める小野小町、そしてタイトルは『雪月花』。謎解きのように絵を楽しみ愛でる江戸の人々。ステキですよね。

 偶然聞こえた見ず知らずのカップルの会話から、ちょっと楽しい思考にふけったのですが、美術館ではこんな楽しみに出会うこともちょこちょこあるんですよ。

 「顔も知らない」通りすがりの方から受けるちょっとした刺激、これも旅行の楽しさの一つです。今後も名所旧跡を見たり、絵画を見に行ったりと、かいがいしく出歩きたいものだと思っています。海外も行きたいなあー。では。