おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

『八十日間世界一周』をみて

今週のお題「最近あったちょっといいこと」

 

 しばらく前に録画しておいた『八十日間世界一周』をやっとみたのですが、いろいろと面白かったのです。これは「ちょっといいこと」に間違い無いですね。 

 

 まず、ハラハラドキドキの「冒険活劇」なのだろうと予想していたのですが、豈図らんや、のんびりコメディだったとは。でも、それは21世紀の私の目にはそう映るだけで、公開された当時(1956年)の人々にとっては、やっぱり胸躍るアドベンチャー映画だったことでしょう。

 予想外だった点はもう一つありまして、世界各地が細かく紹介されて行くのかと思いきや、スペイン・インド・日本・アメリカに大きく時間を割く構成で、「世界一周」の旅行記のようなものを期待してみた私には、ちょっと肩すかしの感じです。それでも、十分楽しめましたよ。以下、感想を思いつくままに書いていきたいと思います。

 ・スペインのフラメンコを踊る男性のスタイルがメチャクチャいい。よすぎ。体型が美しすぎて、「妖しい」というレベル。美しすぎるものはどこか不安を感じさせます。彼のファンになったら不安でしょうね。

 ・シャーリー=マクレーンがインドの華麗(カレー)なお姫様役。どこからどう見ても完全に白人。これにはインド人もビックリ、でしょう。今だったらあり得ない配役でしょうが、こういう「ゆるさ」も懐かしいです。

 ・日本が好意的に描かれていて、ちょっと気分がいいのです。富士山、きれい。国籍不明の東洋風の大道具・小道具など、首を傾げたくなるところもありますが、他国に「ゆるさ」を認めるのなら、自国の描かれ方にも同じスタンスであるべきでしょう。

 横浜に鎌倉の大仏様が登場しますが、そんなことホットケブツブツ言うな、なのです。

 ・アメリカ映画でありながら、アメリカに対して揶揄する視点を感じました。どこか冷めた「イギリス的な視線」を送っているような映像なのです。騒々しい街の様子や選挙に熱狂する様など特に。

 この映画をみると、アメリカ人の「選挙好き」は筋金入りなんだと、改めて思い知らされますよ。町中が選挙一色、選挙占拠されている感じです。

 それに対して、インディアンの伝統的な祝祭シーンには敬意が感じられました。とは言え、勇猛果敢に弓矢で列車を襲ってくる彼らは、銃の力で蹴散らされていくのですが・・・。鉄砲に刀を振りかざして突撃する武士の姿と重なって、切ないものがありました。

 ・有名な人物がちょっとだけ作品に登場する「カメオ出演」というものがありますが、この映画はその嚆矢であるということです。映画をみる前にちょっと勉強して予備知識があったので、見逃さないように注意していた場面があります。カメオを出演した大物俳優は大勢いたのですが、さすがに昔すぎて、名前を知っていたのはフランク=シナトラとマレーネ=ディートリッヒの二人だけでした。たまたま、この二人は同じシーンに出ると言うことも分かっていたので、真剣に画面を見つめていました。問題は、私は二人の名前こそ知ってはいるけれども、顔は分からないという点です。でも幸い、勉強の効き目があり、二人をしっかり見極めることが出来ました。

 マレーネ=ディートリッヒは脚線美で有名でしたが、まさにそのおみ脚を惜しげも無く披露しての登場でした。細くて、長~い脚でした。滅多に無い、まれ~、ね、と言うべき脚です。

 フランク=シナトラに至っては、勿体をつけにつけての登場です。その後頭部だけが二度も三度も映るのです。「誰だ?誰だ?」そう思わせておいて、振り向くとフランク=シナトラ。映画館で「キャー」という嬌声が上がったかも知れません。私は残念ながら彼の顔を知らないので、「これが若き日のフランク=シナトラか」と思っただけで、どうということもなかったです。ゴーイングマイ・ウエイです。

 

 以上、思いつくままに感想を書きましたが、思う存分ダジャレも披露でき、ちょっとどころか、この映画は「とてもいいこと」になりました。

 『八十日間世界一周』は、途中に一分間の休憩が入るという、三時間近い大作です。でも、コロナ禍で迎える年末年始、だらだらゆったり見るにはお勧めの映画です。海原の向こうにそびえる富士山に、ジーンとなってみてはいかがでしょうか。では。