おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

傾斜を伝えるのは難しい

 一月の半ばに行った箱根旅行記の続きに戻ります。

 箱根は山の中なので、急な坂道だらけの町です。特に、今回歩き回った強羅・小涌谷のあたりは「急坂」と言っても過言では無い道の連続でした。(もしかしたら、私が知らないだけで、もっともっと凄い坂の場所もあったかも知れませんが)

 

 強羅・小涌谷を歩いているとき、三つのことが思い浮かびました。

 

 ①こんな坂道の町があるなんて!実際に訪れてみて知ること、実感を伴って分かるということはあるものだなあ。これが旅の醍醐味というものなんだなあ。

 

 一泊目のホテルはケーブルカー「中強羅」駅の近くにありました。写真は、その中強羅駅の様子です。

 そもそもケーブルカーで登っていく傾斜なのですから、尋常ではない場所だということはおわかり頂けるかと思います。でも、別荘地であり、観光という産業があるからなんでしょうか、立派な建物が建ち並ぶ、「街」なんですよ。

 

 青森県民の私は思いました。

 「こんな傾斜の道路でも暮らしていけるのは、雪が降らず、路面凍結も(たまにしか)ないからなのだろう。青森県の冬にこの斜度は、怖くてとても車の運転なんて出来やしない。」

 いつも旅行するたびに思います。

 日本は広いなあ。私のちっぽけな脳みそをこえて、人々の多様な生活はあるんだなあ、と。

 

 ②この坂の傾斜のすごさを、土産話を待っていてくれる友人達にどう伝えよう。写真に撮るのは難しいんだよねえ。

 今、実際に私が歩いている坂道のすごさ(斜度・長さ)をどうやったら伝えられるだろう。

 「小涌谷の駅に向かってずっと下り坂なの。ずっとずっと。下りなら楽だと思うでしょ、さにあらず。あまりにも急な下りだから、自分の脚にブレーキをかけながら歩かなきゃならないのよ。勢いがついて走り出さないように。実際に次の日、向こう脛の筋肉痛。向こう脛の筋肉痛って、考えられる?」

 こんな説明セリフを考え考え歩いていたのですが、これで伝わるだろうか、自信無いなあ。

 と、一軒のお家が目にとまりました。これだ!すかさず写真に撮らせて頂きました。

 

 車が傾く駐車場。家の間口の右と左で階段6段分の高低差。どうです?この写真から、ゼヒ車道斜度を割り出して頂きたいものです。数学の得意な方、宜しくお願いいたします。

 

 ③若い人はともかく、年をとってこの地で暮らすのは大変だろう。

 向こう脛が筋肉痛になるような長くて急な坂道を降りに降り、目指す小涌谷駅が見えました。列車がちょうど入ってきたところです。でも、「走ったら間に合うかも」なんて気は全くおこりませんでした。

 

 ね、間に合うわけ無いでしょう?

 ちょうどこの写真を撮っていた時、高齢の女性が道を横切るのが見えました。惜しい。もう少し近ければ話しかけたかったのに。聞きたいことがあったのに。こんな風に。

 「すみません、ちょっとお聞きしたいのですが。この坂の町で暮らすのは大変じゃ無いですか?駅まで行くとき、帰ってくるとき、この坂を歩くんですよね」

 もしもこの質問をすることが出来ていたなら、一体どのような答えが返って来たでしょうか。残念!

 

 何回も書きますが、私は雪国に暮らしています。毎冬、「雪かき」に四苦八苦する生活です。それでも、自分で雪かきが出来る内はいいのです。

 「雪かきが出来なくなったら、老人ホームかな。何歳までこの家で暮らせるだろう」

そんな事が脳裏に浮かんだりもします。

 でも、老後の生活に不安があるのは雪国ばかりじゃない。どんな土地にもその土地なりの苦労や問題があるのだろう。みんなそれぞれの苦労を引き受けてどうにかこうにか暮らしていくんだ。老後という人生の下り坂を、いかにブレーキをきかせて降りていくか、それが大事。人生の斜度は自分でコントロールできる、そう自分に言い聞かせたいと思います。でも、たまには弱音も吐こうね、箱根だけに。では。