おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

雪国の一人暮らしが旅に出るには

 旅行に行きたいなあ、いっぱい旅をしたいなあ、そんな風に願ってみても、それを阻むべく立ち塞がる壁は、幾重にも重なっているものです。

 時間・お金の問題。面倒くささや不安と言った自分自身の重い腰。そして疫病・・・。

 さらにもう一つ。雪国の戸建てに住む者特有の事情があるのです。それは雪かき。特に私の家は、除雪車の入ってこない細い小路に面しており、しかも向かいは空き地なので、私の家の前の道路は私が責任を持って雪かきしなければならないのです。歩く人は勿論、車一台が楽に通れる分の除雪は、義務と言っても過言ではありません。

 自分が家を留守にしている間に雪が降り、私の家の前で車が立ち往生なんて事にでもなったりしたら、せっかくの楽しい旅行も台無し、ご近所に顔向けが出来ないというものです。そうかと言って、「留守の間、雪かきをお願いできませんか」とお隣に頼むのも気が引けて。皆さん自分の分担の雪かきだけで精一杯なのですから。と言うわけで、雪の季節は泊まりの旅行は出来ない、そんなルールが私の中でできあがっているのでした。

 

 今年は息子その1が、7日に友達の結婚式が弘前であることから、9日に東京に戻るというゆったりとした帰省となっていました。自分の事ではないのですが、結婚式も新幹線もお天気が気になるので、お正月から何回も何回もスマホの天気予報を眺めていました。すると、なんと言うことでしょう!12日から14日まで、最高気温10℃越えの晴れマークが、揺るぎなく輝いているのでした。

 これは! 

 行けるじゃないか、二泊三日の旅行に!

 しかも、待てよ。大人の休日クラブパスって、いつからだっけ?→検索→12日から!→決まり!

 という流れで、私は12日から14日まで、箱根・東京を旅してきたのでした。

 

 ちょっと話は変わりますが、「夏休みの宿題は始業式前日に泣く泣くやる」という子供あるあるがあります。これは「いつでも出来る」という油断があると、人は物事になかなかとりかかれず、先送りにしがちという具体例ですね。そして勿論子供に限った事ではなく、大人になっても、やっぱり「先送り」はしがちで、人というものは面倒くさがる生き物だということがよく分かります。

 冒頭に、旅行に行きたいとは思ってもなかなか実行できない壁(理由)を並べましたが、結局は「いつでも出来る」という心の甘えが根底にあるからだと思います。その証拠に、「冬は旅行が出来ない」という厳しい状況に置かれた私は、「この希有な三日間を逃してなるか」と行動できたのでした。

 時間は充分ある。お金はなんとかなる(そのために普段は質素に暮らしているじゃないか)。面倒くさいなんて、こんなチャンス滅多に無いぞ。不安なんて言ってたらこの先もどこへも行けやしない。そしてコロナだって、これからますます不透明。

 今しか無い!そう思えたとき、人は行動出来るものです。

 

 明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは  

                        親鸞聖人

 明日も咲いていると思っていても、夜中の嵐で桜は散ってしまうかもしれない。(先延ばしすれば機を逃すかも知れず、気持ちも薄れていく)

 本当にこの歌の通りですね。

 思い立ったが吉日、いい日旅立ち!往きは雪なし、帰りも雪なし。天気予報を信じて、少々能天気に出発したのでした。続く。

 

 ↓ 上野公園では桜が咲いていましたよ