おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

鎌倉殿と鎌倉様

 去る4日。NHK総合の『チコちゃんに叱られる』で知ったのですが、「殿」と「様」のもともとの意味についてです。

 「殿」は建物、「様」は方向を表すのだそうです。「鎌倉殿」とは鎌倉にあるお屋敷のことであり、「鎌倉様」は鎌倉のほう、ということなのだそうです。

 ですので、元々は敬称としては、鎌倉の地に住んでいるお方ということで、「殿」が使われていたと言うことです。ところが、この敬称であるはずの「殿」は、やがてあらゆるものに頻繁に使われるようになってしまいます。そうなりますと、「敬する」という感覚が目減りしてしまいます。そこで新たに使われるようになったのが、鎌倉のほう(に住んでいる)という意味で使われていた「様」なのだそうです。

 私はこれを聞くや、「ほう!」と思わず膝を打ってしまいました。この方向を表す「さま」については、拙ブログで過去に書いたことがあったからです。

 

chokoreitodaisuki.hatenablog.com

 

 時間のある方には過去記事を読んで頂きたいのですが、お時間の無い方のためにまとめますと、津軽で言う「東京さ行く」の「さ」は、方向を表す「さま」から来ている、ということです。

 私が「ほう!」と思ったのは、「さま」は漢字で「様」と書くと言うことを知ったからだったのです。チコちゃん、様々です。

 そしてもう一つ、「ほう!」と思ったことがあるのです。そもそも、なぜ敬意を持つ相手は地名に「殿」や「樣」をつけて呼ぶのかと言うことです。その理由は、偉い方を名前で呼ぶのは失礼にあたるから、なのだそうです。言われてみれば、なるほどなあ、と思い当たることがあったからなのです。

 私にはおばやおじが何人かいるのですが、親との会話などでおじ・おばを指すときは、頻繁に行き来していた場合は○○おじさん、△△おばさんと名前で呼んでいましたが、数年に一度しか会えない他県のおじ・おばは、大阪のおじさんとか福島のおばさんとか、地名で呼んでいました。また、夫の兄弟が結婚して☆☆町に暮らしているのですが、私たちはその一家を☆☆と呼び、その一家は我が家を指して会話するときは「弘前」と呼んでいるようです。

 「弘前のお歳暮、何にする?」のように(予想)。

 面白いのは、この感覚、つまり名前を直接呼ぶのは憚られるというのが、外国にもあるということです。皆さんもご存じでしょう?あの有名な映画、『ハリー・ポッター』です。「名前を呼んではいけないあの方」ですよ。

 

 不思議ですよね。時代も地域も越えて、「偉い方の名前を直接呼ぶのは失礼に当たる」という感覚があるのですから。それだけ名前というものは大事なものであり、神性のようなものがあると考えられたということなのでしょう。生まれた子供のために、親が一生懸命に名前を考えるのももっともなことです。

 

 話は変わりますが、父方、母方あわせれば、片手に余る人数のおじ・おばがいたのですが、残るはたった一人となりました。父も母もあちらへ行ってしまいましたし。みんな、人生で最初に貰ったものは「名前」だったと思うのですが、最後に貰ったのもまた「戒名」という「名前」だというのは、なかなか考えさせられます。では。