日本ガイシ株式会社のテレビCMの、「僕はクロコ」のクロコくん、分かります?
あるいは、2019年に同社が創立百周年を記念して一年間展開した、『ポケモン』とのコラボCMはご記憶にありますか?
日本ガイシ株式会社はガイシの世界シェアナンバーワンは勿論、その他にもとっても凄い会社なのに、世間の認知度はあまり高くないような気がします。「クロコ」だからでしょうか。
そもそも、「ガイシ」ってすぐにピンときました?漢字では「碍子」です。
実は私は子供の頃から「ガイシ」には妙に惹かれるものがありまして、ごくごく稀に道端でみつけたりしますと、拾って持って帰ったりしていました。誰に教えて貰ったのかは覚えていませんが、それが電線に取り付けられる「ガイシ」というものだと言うことだけは早くから知っていました。何だかよく分からないけれど、電気に関係した部品。明らかに瀬戸物(磁器)だけれど食器ではないもの。恐らく、子供心に非日常性といいますか、科学技術の一端に触れるような気がしたのだと思います。
そして、一気に時の流れをすすめ、母となった私のある日の事です。
息子その1が、不思議なものを拾ったと、ある物を持って帰って来ました。それは息子の宝物の一つとなり、20年以上もたった今でも、彼の部屋に埃をかぶって存在しています。こちらです。
「ああ、ガイシだ」そう思ったとき、やっぱり思ったのは「遺伝」の不思議でした。こんなところまで似るなんて。
でも、違った様です。
私や息子がガイシに心惹かれるのは私達だけの遺伝的嗜好ではなく、多くの人に共通の価値、つまり「ガイシ」は多くの人の目にカッコイイと映るものだと分かったのです。それがこちらの写真です。
こちらは先日訪れた「弘前れんが倉庫美術館」の展示物の写真です。煉瓦倉庫が工場として使われていた時代を展示するコーナーに置かれていました。説明などはありませんでしたが、ガイシに違いないと思いました。カッコイイんですけど~。
きっとこれを展示しようと思った方も、単なる時代の記録としてでは無く、「物」そのものに何かを感じたから展示したのではないかな。カッコイイと思ったんじゃないか、ガイシってカッコイイんじゃないか、そう思った、いえ確信したのです。読者の皆さんもそう思われませんか。
碍子の「碍」には妨げるという意味があり、ガイシとは電流を妨げる物、つまり絶縁体です。ガイシ無しには電線の取り付けは出来ないのです。それを自ら「クロコ」とは、謙遜が過ぎるのではとも思いますが、その謙虚さが「クロコくん」の魅力なのかも知れません。あまり大口をたたくと、クロコならぬクロコダイルになってしまいますからね。
ちなみに、日本ガイシ株式会社は外資系ではありません。日本の会社です。創立101年目を迎え、今後ますますのご発展をお祈り致しておりますよ。では。