おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

四日目 国立新美術館『ウィーン・モダン展』

 日本の美術館では、作品の撮影は禁止されていることがほとんどですね。

 今回珍しく、下の作品に限り撮影が許可されていました。皆さん、当然撮りまくりです。

f:id:takakotakakosun:20190711144732j:plain
f:id:takakotakakosun:20190711144809j:plain

 作品のタイトルは、「エミーリエ・フレーゲの肖像」。エミーリエはクリムトの長年の愛人で、女性の体を締め付けない新しいデザインの洋服のお店を、経営していたそうです。
 上野の都立美術館でクリムトの作品を見たときも思ったのですが、ウィーン分離派と呼ばれるようになってからの作品は、どうもピンとこないんですよね。なんかポスターみたいというか、人物の顔もポップ過ぎるというか。私の中に、「油絵っていうのは、もっと重厚で、まさに一点もの!っていう有り難みがなきゃ」っていう思い込みがあるからなのかもしれません。

 この企画展では、絵画だけではなく、建築から家具や食器など、様々な分野の作品が古典的な様式からモダンなデザインへと変わった、その代表的な物も展示されていました。椅子やティーポット、分離派展のポスターなど、洒落たデザインで、なるほど確かに「モダン」だ、と納得の作品が多数ありました。

 で、またまた「へそ曲がり」な感想なのですが。

 私は、せっかく美術館に足を運んでみるのなら、ため息が出るような豪華な、あるいは歴史的に貴重な「一点物」がみたい、と思ったのです。いくら優れたデザインであっても、工業的に量産が可能な物であれば、デパートでみればいいんじゃないかな、と思ってしまうのです。ポスターも同じように、「本」を手に取って近々と見る方がいいような、そんな気がしました。工業デザインなどを学んでいる方にとっては有意義な展示だろうとは思うのですが、私はあまり「資料的価値」には興味がない、ということなのかもしれません。

 

 クリムトと並んで、今回注目を集めていたのはエゴン・シーレですね。シーレは28歳の若さで亡くなっているのですが、彼の作品にはなんとなく「死」のイメージが漂っている感じがしました。ゴッホの影響を受けた、縦長のヒマワリの絵があって、それは恐らく自画像なのだろうという解説をテレビで聞いたのですが、本当にそう思いました。

 

 いろいろ否定的な感想も書きましたが、見応えという点では十分過ぎる企画展だと思います。会期も8月5日までですので、チャンスのある方は是非。「新美術館」は、地下一階のショップの品揃えも面白いですよ。

 

f:id:takakotakakosun:20190711154750j:plain

  

 ということで、昨日は「新美術館」についての文章の、「起・承・転・結」の「紀・章」でしたが、今日は「展・結」となりました。

 

 以上。3泊4日の私の「大人の休日」旅でした。長~いレポートにお付き合い下さり、ありがとうございました。では。