おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

父について書こうとすると

今週のお題「おとうさん」

 

 亡き父とは折り合いが悪かったので、父について何かを書こうとすると、ネガティブなものになってしまう。それでは読んで下さる方が嫌な気持ちになるだろうし、書いている私もドンドン気持ちが盛り下がってしまう。

 じゃあ、書かなければいいとも思う。「今週のお題」は必ず提出しなければならない宿題や公的書類ではないのだから。でも、書かないと言うことが逆に、私の父への否定的感情を見せつけてくるような気がして、いつまでも囚われてしまう。それが今週ずっと続くのも嫌なので、なんとかいい記憶を掘り起こして書いてみたい。

 

 母が亡くなって、父は一人暮らしをすることになった。家事は一切、専業主婦の母に任せてきた父なので、まずはそのことが問題になった。ところが、父は妙に張り切って、料理も洗濯も大丈夫とのこと。掃除は最初からする気もないが、まあ、住んでいる本人が構わないのならいいでしょう。

 一番の問題は「孤独」「寂しさ」。父は話し相手が必要な人だった。ただ、父が必要とするのは「聞き役」であり、一人で好きなだけ他人の悪口を言い、独断に満ちて世の中を語った。反論は許さないどころか、他人の意見や相手の持ち出す話題は聞くに値しないという態度だった。そんな父だったので、交際範囲は年を経るにつれて狭くなっており、母を亡くした事は貴重な「聞き役」を亡くしたということだった。(母は聞き流すという特技を身につけていたので(笑))

 母の法事で久しぶりに父と会った時のこと。「寂しさ」に音を上げる頃では無いかと思っていたが、父は思いのほか元気だった。そしてつぎのように言った。

 「考えてみれば、うちの男連中は皆一人暮らしだ。息子達もそれぞれ一人暮らし。お前の所も単身赴任で一人暮らし。みんな一人で頑張っているんだ。俺も頑張ろうと思う」

 母が亡くなってから五年間、父は一人で頑張ったのだった。

 

 お父さん、相変わらず、うちの男連中は皆一人暮らしだ。孫達まで東京でそれぞれ一人暮らしなんだよ。だから、必然的に私も一人暮らしになったよ。

 私もさ、いつでも言いたいときに人の悪口を言ったり、独断と偏見に満ちた社会評論を語りたいんだけど、聞き役がいないよ、お父さん。

 だから、最近は「ブログ」っていうものをやってるんだよ、父親譲りの性格の悪さを出さないように気をつけながらさ・・・。

 

 父について書こうとすると、筆は遅々として進まないのですが、頑張ってみました。では。