おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

柘榴あれこれ 2

  西洋において、「柘榴」は実に様々な意味を持つ果物です。「豊穣」や「子孫繁栄」といったプラスの意味もありますが、キリスト教においては、聖母マリアの純潔を表すと同時に、イエスの受難の象徴ともなっているそうです。

 

 ボッティチェリの作品を2枚、「トンド」と呼ばれる「円形」の絵を見て下さい。どちらもザクロが描かれています。

 

f:id:takakotakakosun:20181006175245j:plain『マニフィカトの聖母』

 

 

f:id:takakotakakosun:20181006175308j:plain『ザクロの聖母』

 どちらの絵がお好きですか。私は断然、一枚目です。一枚目は聖母のお顔の甘ったるさが、まさにボッティチェリ。いいですねえ。そしてそれ以上に、幼子イエスの表情ですよ、なんと言っても。

f:id:takakotakakosun:20181006180404j:plain 拡大しちゃいました。

 

 もうこの表情は、自分の運命を悟り、受け入れていますね。さらに、やがて我が子を失うであろう若い母親に対する、哀れみの様なものさえ感じさせます。二人の手が支える「柘榴」が幼子の行く末を暗示して、悲しいですね。

 

 二枚目の絵は、なんだかうるさくないですか。周囲を取り囲んだ天使達が、ガヤガヤお喋りに興じているようで、落ち着かない感じがします。聖母子にはホトンド、関心が無いんじゃないかと疑ってしまいます。視線のせいでしょうか。

 

 視線って、大事ですね。パックリと口を開けた柘榴のように、目は、見る者に様々な意味を語りかけてきます。まさに、「目は口ほどにものを言う」なのです。