「海を見に、ドライブしない?」
車の運転が好きだというお友達が誘ってくれました。目的地は津軽半島の北端、外ヶ浜町。「龍飛崎」と言えば、県外の方にもなんとなくイメージして頂けるかも知れません。日曜日でしたがほとんど人影は無く、有名な「階段国道」も、完全な貸し切り状態で歩いてきました。
外出自粛でなかなか旅行にも行けない昨今です。私の写真で少しでも「気分」を感じて頂けたらと思います。
写真のテーマは、「言葉との出会い」ということで。
♪ご覧あれが竜飛岬 北の外れと~
と、石川さゆりさんの美声を聞かせてくれる『津軽海峡冬景色』の歌碑です。
正直なところ、存在は知っていたもののあまり期待はしていませんでした。ところが。実際にここに立って歌声を(しかも、すごく音がいいのです)聞くと、ムード満点。ウットリしてしまいます。二回も聞いてしまいました。
そしてですね、もう一度上の写真をご覧下さい。
なんだか、ロールケーキが食べたくなってきませんか?サブリミナル効果ってやつでしょうか(違うか、笑)
全国的に有名な「階段国道」。当然、車は通れません。「冬の間、除雪はしません」という注意書きがありましたので、冬期間は車どころか、人も通れないのかも知れません。「かいだん」は夏の風物詩、ということで。
階段国道の両脇、紫陽花が綺麗でした。この国道は竜飛漁港へ通じる道なのですが、かつては「通学路」でもあったようです。右写真の屋根が見えている場所は現在は集会所が建っていますが、かつては竜飛中学校があったそうです。
通学路が階段で、しかもそこは国道。まるで物語の世界の様じゃないですか?
今は外ヶ浜町の龍飛崎ですが、そこはかつては「三厩村(みんまやむら)」でした。
上の左写真が、旧村名の由来である「厩石(まやいし)」です。
何でも、平泉を脱出した義経は、ここで三つの洞穴に繋がれた3頭の龍馬(りゅうめ=脚の速い馬)を、観音様の御利益で授かったのだそうです。一行はそれに乗って無事に海を渡って行ったとか。
そこから、この村は、三つの厩(うまや)=三厩(みんまや)となったのだそうで。厩石の道路をはさんだ向かい側の崖の上には、「義経寺(ぎけいじ)」というお寺もありました。
お寺には山号というものがつきますが、こちらのお寺の山号は「龍馬山(りゅうばざん)」でした。右の写真に写った立板な看板を拝見したときは、
「龍馬と義経と、日本史二大ヒーローの名前を掲げるとは、なんと欲張りな!」
不謹慎にもそう思ってしまいました。ちゃんと、いわれがあっての事だったんですね。
旧村名のみなもとともなった言い伝えに考えを巡らすこともなく、大変失礼致しました。
こちらの写真は、現外ヶ浜町、かつては蟹田村だったところで撮った一枚です。
「ウェル蟹」。いいですね。私にはたまらないネーミングです。特に、小さい「エ」。発音する際には、Well の発音になるよう、留意したいものです。
さて、「小さな旅の記録」はここまでで、最後にオマケの一枚です。
これは個人的に絶対はずせない一枚なのです。良くみかける雑草ですが、何という名前の植物か、ご存じでしょうか。
標準語では、「虎杖」と書いてイタドリ。名前を聞けば、ああ、と思われたかもしれません。私の故郷では「スカンポ」と呼ぶのが一般的だったと思います。イタドリという標準語名は、大分大人になってから知りました。この植物をみて、同行のお友達が言いました。
「サシトリって、厄介な雑草だよね」
サシトリ!?
そうか、津軽では「サシトリ」なんだ!ああ、そう言う事であったか!
私の故郷では渓流釣りも人気なのですが、その際、エサとして良く用いられるものに、「さしとり虫」というのがありました。小さな蛾の幼虫で、どこから採取するかと言うと、スカンポの茎の中からだったのです。
それで「さしとり虫」か!「さしとり虫」は津軽弁からだったんだ!
長年、なんとなーく疑問に感じていたことが、パッと解けた瞬間でした。
確かに、こうやって書いてみればどうと言うこともない、小さな小さな個人的発見に過ぎないわけです。でも私の喜びはなかなかなものでありまして、とてもむしは出来ないと、こうして書き残した次第なのですよ。では。