働いていた頃は、「通勤に必要だから」と理由をつけて、洋服・バッグ・靴を買った。十分に持っていたのに。
働いていた頃は、休日に友達とランチに行き、食事の後は「ウィンドウ・ショッピング」をし、「見るだけ」、に終わらないことがしばしばだった。その度に、母方の祖母の「目に負ける」という言葉を思い出した。見なければ欲しくなることも無いのに・・・。
今年初めに布団乾燥機を買った。久しぶりの大きな買い物だった。「一片の悔いも無し」と言えるほどの満足・納得の買い物であった。持っていない、でも必要なもの。でも、何日も考えに考えて買う。そして買った後はちゃんと活用する。うん、買い物はこうでなくっちゃ。衝動買いはもう卒業だ。
一週間ほど前、何気なくつけたテレビが通販の番組だった。普段はその手の番組を観ることはないのに、その日はなぜか一時間近くみてしまった。同じ商品を二人の人間が交互に、あるいは二人がかりでお勧めしてくるという、いわば、繰り返し同じ呪文を吹き込んでくるような、そういう番組だ。おすすめしていた商品は「電気圧力鍋」だった。
目に負けた。
それまで「電気圧力鍋」なんて私の人生に影も形も見えなかったのに。なぜなら、普通の圧力鍋を持っているから。でも、手持ちの鍋は容量が小さい。家族が集合したときには不便がある。テレビで紹介していた商品はちょっと小さいが、同じ機種でもっと容量の大きい物はあるだろうか。
早速、ネットで調べたところ、あった。しかも、展示品と言うことで値引きされている物が、すぐにヒットしてしまった。「買え」という圧が凄い。圧力鍋だけに。
ああ、これはもう買うしかないのだろう。すっかりのぼせ上がってしまった私は、圧力鍋だけにジョウキした顔で、パソコン画面の注文ボタンをポチッとしたのだった。続く。