おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

自転車の、ライトを盗まれた!

 運動不足解消のため、なるべく車では無く自転車で出かけようとは思っているのですが、暑いだの、雨だの、なかなか自転車の出番がないのです。4,5日前に久しぶりに自転車に乗ろうと思って気付きました。ライトが無い!ハンドルに取り付けていた3千円ぐらいしたライトが、忽然と消え去っていたのです。

 自転車が盗まれるという話は良く聞きますが、ライトを外して持っていく人がいるなんて。そう言えば、サドルを盗まれたなんて話もありますね。嘘か真か、サドルを盗まれた人がしょうが無いから、ちょうどスーパーで買ったブロッコリーを取り付けて乗って帰ったとか。でも、ライトの代わりはちょっと思いつきません。

 だんだん日も短くなってきてライトは必要ですから、涼しくなるのを待って自転車屋さんに行ってライトを買い、そのまま喫茶店に行ってアップルパイを食べ、ライトを盗まれた鬱憤を晴らすことにしました。

 

 新しいライトは2,400円。消費税はサービスしてくれました。取り付けてくれた若い店員さんは大学生のアルバイトらしく、「大学でもライトを盗まれることが多いんですよ」と言ってました。ライトは道を照らす物なのに、そんな道に外れたことをするなんて、残念な事です。

 ついでにタイヤに空気を入れてもらい、一段軽くなったペダルでお目当ての喫茶店に向かいます。

 途中、素敵な写真が撮れました。

 

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 弘前市の代官町という通りです。素敵な街灯が設置されているのですが、その影がちょうどレトロな壁に映って、外国の街角みたい。ライトつながりの一枚です。

 

 目的の喫茶店は『万茶ン(まんちゃん)』という昭和4年開店の、東北では最も古く、日本でも4番目に古いと言われる、今風に「カフェ」ではなくやっぱり「喫茶店」と呼びたいお店なのです。太宰治が通った喫茶店としても有名です。

 知人が「アップルパイが美味しい」と勧めるので、一度食べてみたいと思っていました。

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 お店の前のコントラバスのオブジェと風格有る看板。

 

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 「太宰ブレンド」とアップルパイのセットを注文しました。陽気なマスターが一人で切り盛りしているのですが、目の前でコーヒーをカップに注ぎながら、

 「ゆっくりしていって頂きたいので、当店のコーヒーはたっぷりです」と言って下さるのです。

 お店のオリジナルのコーヒーカップに描かれているのは、右の写真の木彫りのレリーフです。このレリーフは、昭和初期に旧制弘前高校の学生がこちらのお店に贈った物なのだそうで、モチーフは弘前高校の校章の「大鵬」です。

 その学生さんはきっとこちらのお店の常連さんで、それこそ一杯のコーヒーで何時間も居座り、一人物思いにふけったり、あるいは友人と喧喧諤諤の議論を戦わせたり、まさに「我が青春の万茶ン」であったのでしょう。

 お店は6時閉店で、遅い時間だった事も有り、気付くとお客は私と若い男の子の二人でした。私はテーブル席、その男の子はカウンター、中間地点にマスターが立つという位置関係で、ちょっとしたきっかけから三人で会話が始まりました。聞けば、大学二年生とのこと。見るからに「理系男子」というその学生さんは、見るからに「おばちゃん」である私にも、実に真摯な態度で自分の興味対象や今の大学生気質といったものを語ってくれるのです。楽しくも不思議な、もったいないような時間でした。

 

 「light」には「~を明るくする」という意味もありますが、自転車のライトを盗まれたために、思いがけなく気持ちを明るくしてもらう出会いがあったわけです。結果、オーライ(right)ということで。では。