「昨日はロープウェイから降りてまっすぐ旅館に帰って来たけれど、温泉寺の山門や薬師堂も良さそうだよ。行ってみない?」という私の提案に対して、
「そうだね。ロープウェイ乗り場のすぐそばの温泉卵も食べなきゃならないし。裏の通りも風情あるから、そっちを通って行ってみよう」と、夫も快諾。
ランチ(水族館の後、お寿司を食べました(笑)さすが海の町、美味しかった)後の腹ごなしも兼ね、ブラブラ歩きで行ってきました。
木屋町小路という通りです。ほとんど人通りがなく、ゆっくり写真を撮ることが出来ました。
温泉寺山門。立派です。
薬師堂。石段を500段余り登っていきますと、昨日訪れた本堂があります。
中にいらした案内の女性の方が「どうぞお入り下さい」と声をかけて下さいました。城崎で感じたのは、地元の方の物腰がとても柔らかく親切で、古くからの観光地らしく「おもてなし文化があるなあ」ということでした。
十王堂です。
十王とは閻魔大王をはじめとした、人の生前の罪を裁く十人の王なのだとか。ちょっと惹かれる表情の石仏達です。
お参りの後は「温泉卵」を食べます。実はお参りの前に生卵を買い求め、温泉の湧き出る「卵のつるし場所」につるしておいたのでした、夫が。ちょうどいい頃合いを見計らって戻り、卵を引き上げます。しばらく冷水に浸してから、その場で割って食べます。
城崎温泉二回目の夫曰く。
「ここで食べなきゃならないんだよ。なぜなら、ここには専用の温泉卵割り器があるから」
素晴らしい!温泉卵が実に簡単に美しく割れたのもそうですが、そのトロトロ加減の絶妙さと来たら!お塩を少し振って、トゥルトゥルっと、流し込むようにして頂いたのですが、「今まで食べてきた温泉卵とは何だったのか」、そう思わずにはいられないほどの美味しさでした。
さすが我が夫。温泉卵のタイミングを計ることにかけては右に出る者無しと思いましたよ~。思いがけない才能の発見、殻を破った、そんな感じです。卵だけに。
「さて、旅館に戻って着替えて外湯に行こう」夫からの提案です。
う~ん、お風呂もいいけれど、私はもう少し街の散策をしたいな。よし、夕食までは別行動。ということで、私は賑やかな温泉街の反対方向に、大渓川(おおたにがわ)と円山川の合流するところを目指して歩いてみることにしました。
二つの川の合流点を目指したのは、この水門が見えていたからです。こんな立派な水門は見たことがなくて、ただただビックリです。後で聞いた話では、円山川は流れが緩やかすぎて、大雨が降るとたちまち水位が上昇。加えて、このあたりは海も近いために潮の具合によっては海水が流れ込んでくるのだとか。
円山川や大渓川と言った、豊かな水があっての人々の生活ですが、同時に水の怖さも実感させられたのでした。
この日は朝から「曇り時々雨」と言った空模様だったのですが、その雨のせいでしょうか。大渓川をのぞき込んでビックリ。カニがウヨウヨいるのです。川にもカニがいることは勿論知ってはいますが、こんなにも当たり前の顔をして大量にいるところを見るのは初めてです。
地元の方にとっては見慣れた光景でも、他の土地の人間にとっては驚きというのは良くある事かと思います。ですが、その中でも私たち北国の人間が、暖かい地方で目にするものに感じる驚きは特段のように思うのです。
「本やテレビでしか見たこと無かった~」とか、「教科書で習った~」とか。はたまた、「え、サイズ感が違いすぎる。こんなに大きいの?」そして「いやあ、日本は広いなあ」とか。
旅行の醍醐味、面白さって、こういう所にあるように思います。
思いがけない発見をして、カニのように殻にこもらず、温泉卵のように自分の殻を破る、旅の大きな収穫ですね。
ちなみに、カニの写真をもう一度ご覧頂きたいのですが、大渓川の護岸、川の水面のあたりにご注目。四角い石が並ぶ様が見て取れるかと思います。玄武岩です。玄武洞で採れる石だから玄武岩。ブラタモリで知りました。明日はいよいよその玄武洞公園に行きます。例え雨でも行きますよ。石のように硬い意思なのです。続く。