「よき細工は、少しにぶき刀をつかふといふ。妙観(みょうかん・名工の名前)が刀はいたくたたず(それほどよく切れない)」とあります。
 確かに、良く切れる包丁で皮を切っていると、リズムにのる感じが楽しくて、丁寧さよりもスピーディーさが勝ってしまいます。でも、私は職人でも名工でもないので、手早いというのも一つの価値ではないかと思うのです。
 マーマレード作りは、皮を切り終わったあとも、苦みを取るために何回かゆでこぼしたり、半日、水につけておいたり。それから、砂糖を何回かに分けて加えて煮詰めるという工程があるのです。家事や雑事の合間の手仕事に、なかなかゆっくり時間をかけてはいられません。第一、立ち仕事は腰に来ますから、なるべく手早く終わらせたいものです。兼好法師のお説よりも、健康第一でいきたいと思うのです。
 
 ↓ いろいろ時間と手間をかけて、完成しました。