おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

クリスマスあれこれ 1 (賢者の贈り物)

 オー・ヘンリー「賢者の贈り物」は、かつてテレビCMでストーリーが語られたこともあり、日本でもすっかりお馴染みになったクリスマスの物語です。

 

 貧しく若い夫婦の、クリスマスプレゼントをめぐるお話です。妻は夫の宝物の「懐中時計」に付ける鎖をプレゼントするために、美しい「髪」を売ります。夫は愛する妻の美しい髪を飾る「櫛」を買うために、時計を売ってしまいます。せっかくの二つのプレゼントは無駄になってしまうのでした・・・。

 でも物語の最後は、次の様な著者の言葉で締めくくられます。

プレゼントをやりとりする人々の中で、この二人のような人たちこそ、最も賢明な人である。彼らこそ「賢者」なのだ。 

 

 ずっと疑問に思っていました。なぜ「賢者」なの? この夫婦が愛と思いやりに満ちているのはわかります。でも、「賢い」というより、「愚か」って感じじゃない?どう解釈したら「賢者」になるの?

 答は原題にありました。

 原題は、「The Gift of the Magi」です。「Magi」が鍵を握っています。英語の発音では「マージェイ」みたいな感じですが、日本ではラテン語読みの「マギ」が一般的です。

 イエス・キリストが降誕したとき、夜空には星が輝き「ユダヤの王」の誕生を告げました。星に導かれた東方の三博士がイエスの下へ「贈り物」を携え、やってきます。有名な「東方三博士の礼拝」または「マギの礼拝」と呼ばれる逸話です。「マギ」とは「博士」の意味です。絵画にも多く描かれたシーンです。

 

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「東方三博士の礼拝」  サンドロ=ボッティチェリ

 

  三人の「マギ」は嬰児イエスに最もふさわしい、「黄金・乳香・没薬」の三つを贈りました。心からの敬意と恭順の意を込めた贈り物です。若い夫婦にとっての「鎖」と「櫛」は、まさにそのような贈り物だというわけです。

 あー、すっきりしました。

 

 「マギ」は英語の「マジック」の語源だそうです。マギは占星術などを行う、不思議な力を持った存在ということから、そうなったのだと思われます。

 マギを導いた光り輝く星とは、「彗星」の事ではなかったかという説があるそうです。そう言えば、マジックには、油性の他に、「すいせいマジック」もありますね。納得です。