12月になりますと、「この一年を振り返る」的なワードが多く聞こえるようになりますね。
数日前にNHKBSの番組をみていて、つくづくと、人間は振り向いてしまうものなんだなぁと思ったことがあったので、書きたいと思います。実は、以前にもやっぱりテレビをみていて、同じことを思ったことがあったので、そのことを②として、2回に分けて書こうと思います。
はじめに、「振り返る」の意味について触れます。
私が書こうとしているのは冒頭の意味でのそれではなくて、ダチョウ倶楽部の「押すなよ、押すなよ」的な「振り返り」の方です。つまり、「振り返ってはいけない」と言われているにもかかわらず、あるいは禁止されているからこそ、人は止むに止まれず振り返ってしまうという、人間の悲しい習性としての「振り返り」についてです。
上の写真はその時のテレビ画面です。
南アフリカの乾いた大地にニョッキリと立っている不思議な植物。現地のナマ族の人々からは『ハーフマン』と呼ばれ、神聖視されている植物です。一体なぜハーフマン?
ナマ族のお婆さんが次のように説明していました。
「自分達の先祖はナミビアからこの地に逃げてきた。その時、故郷を振り向いてしまった人達は、神様の罰を受けた。故郷を振り向いた姿のまま、植物になってしまったんだよ」
せっかく神様が新しい地での生活を与えようとしたのに、故郷に未練を見せたのがいけないということなのでしょう。彼の地の神様は厳しいですね。
さて問題です。
この『ハーフマン』は見事に全員が同じ方角を向いているのですが、それは東西南北のうち、どこでしょうか?
ヒントは、植物ですから太陽の方角に、花の咲くてっぺんを向けます。そうです、答は北です。だって南アフリカ、南半球ですから。
そして偶然にも、ナマ族の故郷ナミビアは、彼等がたどり着いた地の真北に位置していたというわけです。
私達がたった1年を振り返るだけでも感慨深いものがあったりするのですから、二度と帰ることの出来ない故郷を振り返るとき、どれ程胸に迫るものがあることか。植物になってもなお故郷の方角を見つめ続けるハーフマンの姿、ナマ族の人々に神聖視されるのももっともなことだと思いました。