最近DNAについて書いたりしていますが、今日も知ったかぶりで書きたいと思います。きっかけはこちらのパンです。
可愛いでしょう。こちらのパンについては下の過去記事でどうぞ。
chokoreitodaisuki.hatenablog.com
久しぶりにこの「ネコネコ食パン」を食べたいと思い買いに行きましたら、パッケージがリニューアルされ、しかも、三毛猫ヴァージョンも登場していました。美味しかったです。
そして、「そう言えば、三毛猫ってメスだけなんだけど、これって一般的な知識なのかな?」と思い至り、差し出がましくも説明してみることにしました。お付き合い下さい。
最初にちょっと「言葉」の確認をしておきたいと思います。
ヒトの染色体は46本。それが共通の話題を持つ同士ペアをつくっているというのは、以前書きました。23ペア有ることになります。その内の一つのペアは「性別」を決定する性染色体で、残りの22ペアは常染色体と呼ばれます。
性染色体にはXとYがあり、ペアが両方X、つまりXXのときは女性、XYのときは男性となります。大事なところなのでもうちょっとしつこく説明しますね。
お母さんは女なので、持っている性染色体ペアはどちらもXです。お父さんはXとYを持っています。生殖細胞をつくる時、生物は「減数分裂」という技を使うというのは以前書きましたが、覚えておられますか(私は私の読者の皆様を信じておりますよ(笑))。
お母さんが卵の中につめることの出来る1本の性染色体は、Xしかあり得ません。それに対して、お父さんはXまたはYを精子につめます。そして、受精卵がXXならば女の子が、XYならば男の子が生まれるわけです。
また、ここで知っておいて頂きたいことは、性染色体がかかわるのは性別の決定だけではないということです。他にもたくさんの「遺伝上の共通の話題」があるのです。
有名なものでは血友病という病気です。この病気に関わる遺伝情報はX染色体の中に存在します。ですが、その遺伝情報を持ったXは二つそろわなければ、血友病が発現することはありません。このような「二つそろわなければ・・・」という遺伝情報を劣性遺伝と言います(劣性とはあくまでも発現の仕方に関わってのことであり、性質の優劣とは無関係なのです、ここ大事)。血友病の遺伝情報を持ったXが二つそろうことは滅多に無いため、女の子は血友病を発現しにくいのです。でも男の子はXが一つ、そして一つの場合はその情報はそのまま発現されるという仕組みがあり、そのため血友病はXY染色体を持つ男子に現れるのです。
このような性染色体の中に存在し、性別によって発現する遺伝を伴性遺伝と言います。
いよいよ三毛猫の話です。ネコの体毛の色は大きく白・黒・茶ですが、白に関する遺伝情報は常染色体に存在します。ペアの染色体の持つ遺伝情報の組み合わせで、白が出たり出なかったりすることになります。ところが、茶と黒を発現する遺伝情報はそれぞれ性染色体のうちの、X染色体に存在しているのだそうです。
メス猫の場合、XXは、黒黒・茶黒・茶茶の三通りが考えられます(黒や茶色を発現させないという組み合わせは、ここでは省略します)。このうちの茶黒に常染色体の白の発現が加わると、三毛猫が生まれるというわけです。
オス猫の場合はどうでしょうか。Xを一つしか持たないオスは、黒または茶です。白の発現が加わったとしても黒白または茶白にしかならないわけです。これが三毛猫にはほとんどオスがいないという理由なのですが、お分り頂けましたでしょうか。
ところが、極々まれにですが、オスの三毛猫が生まれることがあるのだそうです。
例えば、減数分裂が正常に起きず、XXYという性染色体を持った猫が生まれたりします。性の発現はオスです。Yを持っているので。そして、二つのXが茶黒で白の発現も加わると、あら珍しい、オスの三毛猫の誕生です。でも、(数日前の拙ブログでバナナやミョウガを例に「三倍体」の説明をしましたが)このような奇数の性染色体を持った個体の場合、子供を作ることは出来ないのだそうです。
ところがところが、本当に生物の発生や遺伝というものは不思議に満ちているものです。
極々、極々まれに、減数分裂の過程の中で、X染色体の毛の色の情報がY染色体の中に入り込むこともあるのだそうです。その情報とX染色体の情報、そして白が加わわると、生殖能力のあるオスの三毛猫が生まれることがあるそうなのです。もちろん、その確率は大変大変低いものです。
以上のことからお分り頂けますようにオスの三毛猫は非常に希少なのです。さらに「幸運を呼ぶ」という言い伝えも加わり、とんでもない値段で取引されることもあるとか。1000万とか2000万といったニュースもあったそうです。
つまり、珍重されるということですね、オスだけに。では。