おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

藪蚊は痒い

 三毛猫のオスほどの珍しさではないけれど、生活の中で、ちょっと珍しいことに出会うって結構ありますね。

 例えば、この前の台風(14号)の進路とか。紀伊半島沖でUターンするかのように南に戻って行きましたね。何年か前にもUターンした台風はあったらしいのですが、喉元過ぎれば熱さ忘れるで、全然記憶にないです。皆さん同じなようで、会う人と口々に「珍しい台風だよね」と言い合いました。

 

 最近は早生種のリンゴ(紅玉とか弘前ふじとか千秋とか)の収穫のお手伝いに時々顔を出しています。千秋(せんしゅう)は私のイチオシ林檎です。店頭で見かけましたら是非召し上がって見て下さい。

 先日、「山の畑」にお手伝いに行ったところ、蚊が凄くてビックリしました。10月で、こんなに気温が下がっても(最近は最低気温は10℃を切ります)蚊っているのね~。リンゴもぎの作業をしているときは寄ってこないのですが、休憩していると、何匹も何匹もまとわりついてきます。でも、作業用に露出の少ない服装をしているので大丈夫だろうとタカをくくっていたら、おやつを食べるために手袋をはずした手をチクリとやられました。

 今年は不思議なほど蚊の少なかった夏で、一度も刺されることなく過ごしました。それなのに、10月も半ばになって蚊に刺されるとは。珍しい経験の一つです。

 

 音もなく来て残り蚊の強く刺す  沢木欣一

 秋の蚊(別れ蚊・残る蚊・蚊の名残・後れ蚊)は俳句で秋の季語になっています。気温が下がって活動が鈍くなった蚊に、哀れさを覚えたりするのが俳人のようです。

 掲句はこの記事を書くために歳時記を読んで出会った一句です。ああその通りだ!と思いました。

 夏の蚊は「プゥ~ン」というあの嫌な羽音と共にやって来て、そのくせ音も無く刺します。ヤブ蚊はその特徴なのでしょうか、音も無くまとわりついて刺し、そして強い痛み・痒みがあるのです。掲句は秋の蚊のそういった特徴を見事に捉えていると思います。

 そして、秋という季節の、どこかもの哀しい情趣も「残り蚊」に託されていて、上手いものだなあ、俳句という17音の世界は凄いなあ、と思うのです。

 

 10月に蚊に刺されるという些細なレア体験でしたが、お陰で「秋の蚊」という季語について調べることが出来ました。

 「歳時記」というものは読み物としても大変面白く、季語としての「秋の蚊」についてだけではなく、地方によっては10月まで蚊帳をつったとか、藪蚊の種類だとか、そんな事にまで言及してあって、「痒いところに手が届く」ような本なのです。読書の秋にお勧めの一冊なのです、と、から棒に付け足しておきます、藪蚊の話ついでに。では。