ブックオフの功罪はいろいろあるとは思うのですが、掘り出し物にあたると、やっぱり嬉しいと思ってしまう。
昨日、追記で書きましたが、日本画家・速水御舟(はやみ ぎょしゅう)の画集を、
108円で入手したんですよ。私、『半額』とか『108円』とかに対する、「正の走性」があるのよね。
「速水御舟」は昭和10年に40才で亡くなり、作品数も多くはなく、名前は広く一般に知られているとは言い難いかもしれません。でも、
これらの絵は皆さん、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。「あー、あれか」そう、あれが、速水御舟なんですよ。
そして、今日、私が皆さんに見ていただきたいのが、こちら。
「京の舞妓」
これは、あの横山大観を、「悪写実」だとして激怒させた、曰く付きの絵なんだそうです。
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速水御舟の技術って、凄いんですって(私にはもうわからないレベル)。「京の舞妓」はその持てる写生の技術を十二分に発揮した作品で、「畳の目」なんか、神がかっているらしいです。(その辺の細かさは実物を見てみたいものですね)
私の買った画集にもこの絵はあって、ページを開いた瞬間、舞妓の向かって左側に置かれた「壺」が、光り輝いて目に飛び込んできたんですよ。いやいや、大げさじゃ無く、ホントの話。こうなると、やはり本物を見てみたいものですね。
大観という人は、あまり写生の上手さには重きを置いていなくて(上手いだけなら職人だと思っていたらしいです)、精神性とか発想というものを評価したらしいのです。それで、御舟の徹底的に写実にこだわったこの作品はお気に召さなかったのでしょう。
そんな大観ですが、後には御舟を大いにみとめ、早世を惜しんでいます。
「京の舞妓」はその顔に関して、いろいろな感想があるようです。まあ、簡単に言えば、「美しくない」ということで、中には「グロテスク」とまで言い切る人も。私も、最初は「なんだ、この顔は」と思いました。ところが、舞妓の左手があまりに可憐で、その手と抱き合わせで顔を見ると、何とも言えず「哀れ」な感じがしてくるんですよ。どうぞ皆さん、もう一度「舞妓」の手をじっくりと見て下さい。
東京の「山種美術館」が御舟の作品を多数所蔵。いつか行こうと思っています。ただ、「京の舞妓」は東京国立博物館蔵。その辺はちゃんと調べて、
「山種に行って、はやまったね」、とならないよう、気をつけたいと思います。