おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

久渡寺山から

 朝目覚めた瞬間、「寒いなあ」と感じました。ほんの一週間前の暑さが嘘のような、ここ弘前の気温の激変ぶりです。

 ちょうど一週間前、6日の日曜日は、良く晴れて最高気温も恐らく30℃を超えただろうという、まだまだ夏の盛りの一日でした。私は普段は昨日のお天気さえも「あれ?」とあやふやなのに、なぜこんなにその日の事を覚えているかと言いますと、所属する山のグループで『久渡寺山(くどじやま)』に登ったからなのです。

 

 久渡寺山は弘前市の郊外にある標高663mの、久渡寺というお寺の持ち山です。弘前市出身者には「肝試しの山」としてお馴染みらしいのですが、地元民ではない私にとっては、ちょっとピンとこない「山」です。日程も、8時に集合・出発、12時まえには下山して解散という内容だったので、ハッキリ言ってなめてました。身の程知らずでした・・・。

 

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 現在地から出発し、あそびの森を通り久渡寺山山頂へ。太陽の道から岩落山山頂。沢の道→新国見台→久渡寺→現在地へというコースです。

 

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 さあ出発です。蒲の穂にトンボがとまっていて、しみじみ「秋だなあ」と思うのです。そしてもう一つ、蒲の穂を見るたびに思い出す事があります。昔、友達に言われたのですが、私が、「なぜか昔から蒲の穂が好きで、見るとワクワクするんだよね」と言ったところ、「前世、蒲の穂だったんじゃない」と。

 前世が蒲の穂って・・・。例えば「因幡の白ウサギ」とか、もう少し言いようがないものでしょうか。

 

 さあ出発です。いきなり登りが続きます。当たり前です、山登りなのですから。でも分かってはいても暑さと湿度が、登りの苦しさを何倍にも感じさせるのです。

 私はとにかく前の人について行くので精一杯で、山を楽しむどころではないのですが、さすがリーダーさんは余裕しゃくしゃく、たちまち食べられるキノコを発見したりするのです。また、可憐な花を咲かせる山野草の名前や、木の実についても説明して下さいます。

 「あー、可愛いですねー」と花を愛でるふりをしつつ、貴重な休憩タイムとします。(ちゃんと花も見てるんですよ、勿論)でも、せっかく名前を教えて貰っても、不思議なくらいあっさりと忘れてしまうんですよね、覚えたいのに。華麗な花の魅力も加齢には勝てないのです。残念です・・・。

 

 自分をだましだまし、行動食(羊羹の美味しいこと美味しいこと)で励まし励まし、思ったよりはあっさりと久渡寺山山頂につきました。

 リーダーさんが、途中で採った「今日の収穫」を石の上に置き、皆に披露したのですが、それがなんともいえず美しく豊かな感じがして、なんの脈絡も無く

 「ごん、おまいだったのかい」

童話「ごんぎつね」の台詞が浮かびました。 

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左から、ヤマドリダケ・テングダケマタタビ だそうです

 

 山頂でしばらくの休憩の後、太陽の道から岩落山山頂へ向かいます。

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 岩落山山頂で休憩をとっているとき、恐る恐るリーダーさんに聞いてみました。

私 「あの~、久渡寺山山頂から、ここの山頂までっていうのは、これって、縦走ってやつですか?」

リ 「そうです、縦走です。縦走したんですよ、凄いですよ(笑)」

 

 ということで、わたしも気分はいっぱしの山女です。やまおんなですよ、山姥(やまんば)ではなく。

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 熊はブナの木に爪痕を残しますが、私は今回の久渡寺山登山で、「縦走」という爪痕が残せたのです。嬉しいです。

 

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  涼しい沢の道を抜け、「ミス久渡寺観音像」のお顔を拝見したあと、最後の急登となる新国見台へ。ちょっと頑張りすぎてしまい、到着したときはへとへと。「国見」する余裕がありませんでした。下山に備え、ひたすら休憩です。

 

 休憩終わり。下山開始となりましたが、思ったよりも久渡寺近くまで下りてきており、あっさりと朝のスタート地点に到着しました。12時半でした。

 予定よりも時間がかかったのは、初心者が多かったことと、気温・湿度の影響かと思われます。私もタオル2本がぐしょぐしょで、どこからこんなに汗が出るのかと不思議に思うほどでした。

 

 久渡寺の駐車場には「食堂」が一軒ありまして、「ラーメン食べてから帰る」と、入って行かれた方がありました。私は普段はあまりラーメンは食べない方で、特に夏場は汗で大変な事になるので尚更です。ましてや、エアコンがないのが明白(入り口が開けっぱなし)なのでは、絶対に選択肢に入らないのです。

 でも、その日はなんだか無性にラーメンが食べたくて(塩分を欲したのでしょう)、それに既に汗でドロドロなのだしと、先に入った方の後を追い、一緒にラーメンを注文したのです。

 待っている間に飲む冷たいお水の美味しいこと。

 「お待ちどおさま」「頂きます」、ズルズル、ズルズル。醤油スープの美味しさが染み渡る。ズルズル。「美味しいですね」、ズルズルズルズル。「ご馳走さまです」

 汗が出ないのです。ラーメンを食べている間も食べ終わった後も、全然汗をかかないのです。

 人間の体って不思議です。山登りで経験する暑さに比べたら、ラーメンの熱さなんてどうってことないって事でしょうか。

 不思議な事もあるものだと、ラーメン食べてメン食らった、下山後の出来事でした。では。