おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

続き『The Spay Who Loved Me』②

 ジェームズ・ボンドシリーズの第10作目、原題『The Spay Who Loved Me』について、気になった事を書きたいと思います。

 昨日もちょっと触れましたが、本作ではイギリスのスパイである007とKGBの美人スパイが、協力して共通の敵に立ち向かうのです。そしてお約束通り、二人は恋愛関係になって、めでたしめでたしで終わるというストーリ-です。

 この映画には勿論日本語のタイトルがありまして、ご存じの方は「アレだよね」とすぐお分りかと思います。そして、なぜtakakotakakosunは頑なに原題しか書かないのだろうと不思議に思われたかと思います。

 実はそのタイトルの日本語訳が、私が「気になった事」に大いに関係があるのです。

『The Spay Who Loved Me』を訳すと、『meを愛したスパイ』となると思うのですが、その「me」って、一体誰のことだと思われますか?映画のストーリー的に考えられる候補は二人、007またはKGB美人スパイ、ですよね。

 「me」が007なら、「007を愛した(ソ連の)スパイ」というタイトルですし、反対ならば、「(ソ連の)スパイを愛した007」というタイトルになるわけです。普通に考えれば、主役はあくまでも007なのですから、「007を愛した(ソ連の)スパイ」と受け取るのが自然かなという気がします。

 ところが。

 この映画の邦題は、『007/ 私を愛したスパイ』です。

 そうなんですよ。

 英語の「me」には性別はありませんが、日本語で「私」と言った場合、普通はその人は女性と受け取ると思うんです。少なくとも私は、この映画を日本語タイトルで知った時からずっと、ある女性が「私を愛した007」と言っているのだと思い込んでいました。

 さあ、どちらが正解でしょうか?難しいでしょう?

 ただ、この映画の有名な主題歌『Nobody does it Better』は女性歌手によって歌われており、その中にも The Spay Who Loved Me というフレーズがあることを考えれば、「私を愛した007」ととるのが妥当かと思われます。

 人称代名詞に性別がある日本語と無い言語と、きっといろいろな意識・認識の違いを生むのだろうなと、大変興味深く思った日本語タイトルなのでした。

 さて、最後に蛇足をもう一つ。

 実はこの映画には重要なポジションを演じるもう一人の男のスパイが登場します。そのスパイは美人スパイの同僚であり、恋人でもあるのです。映画の序盤、その男スパイは007暗殺に失敗し、返り討ちにあいます。恋人を殺したのが007その人であると知った美人スパイは、「任務が終了したら、あなたを殺す」と宣言します。ところがですよ。初めに書いた通り、最後は二人はイチャイチャとする関係になり、人目も気にせずイチャイチャとして、ラストシーンとなります。

 非常に非常に低い確率ではありますが、『The Spay Who Loved Me』の Spayは殺されたKGBの男、 Meは美人スパイという、そういう可能性だってあると思いませんか。非常に非常に低い確率ですよ、もちろん。でももしそうであるならば、なんて非情なタイトルなんだ!非情なるかなKGB美人スパイ!って感じで、ちょっとぐっと来るものがあるなあと、これは私の悪ふざけなのですがね・・・。では。