日本では1977年に公開された映画、『007/私を愛したスパイ』について、拙ブログに書きました。書いているうちに、「どのぐらいヒットしたのかな?」と気になりまして、興行収入のランキングを調べたのですが、見当たりませんでした。
「えー、嘘でしょう?」
冷静になって調べ直したところ、この映画は1977年12月10日公開のため、興行収入としては、翌年の1978年にカウントされていることが分かりました。それでは、1978年のランキングがこちらです。
1位 スター・ウォーズ 43.8億円
2位 未知との遭遇 32.9億円
3位 007/私を愛したスパイ 31.5億円
4位 野生の証明 21.5億円
5位 さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士達 21.0億円
以下、6位から10位までは、
「サタデー・ナイト・フィーバー」「柳生一族の陰謀」「ブルース・リー 死亡遊戯」「コンボイ」「男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく」
めちゃくちゃ豪華!って感じしませんか?
私はド田舎の高校生だったので、映画をみるというのは特別感のあるレジャーでした。1位の『スター・ウォーズ』は、同級生(女子ばかり)数人で観に行ったのを覚えています。とにかく話題沸騰の映画で、特に同級生男子達がこぞって、「スター・ウォーズ、スター・ウォーズ!」と騒いでいるので、「行ってみようか」となったのだと思います。オープニングの、頭の上を映像が流れていく(錯覚です)という不思議な感覚が、鮮明に印象に残っています。
同級生男子達が騒いだと言えば、『野生の証明』の薬師丸ひろ子ちゃん。この後数年間にわたって、「薬師丸ひろ子、薬師丸ひろ子!」と騒ぐ男子が後を絶ちませんでしたね。
そして、方向は違いますが、男子の憧れと言えば、ブルース・リー。氏は1973年に亡くなっていますが、『死亡遊戯』は氏が撮影していた未完の作品を、代役など、様々なアイディアを駆使して完成させたという、ファンにとっては待ちに待った作品だったようです。ただ、Wikipediaによりますと、日本ではヒットした(8位ですからね)ものの、世界的にはそれほどのヒットにはならなかったということです。
それにしても、こうしてヒットした映画のタイトルを並べてみただけでも、人間がいかに「戦う」というテーマが好きかというのが、良く分かるような気がします。それはきっと「戦い」が人間の本質といったものに深く関わるからであろうと思います。でも、仮にそうだとしても、その本質はあくまでもフィクションの世界に留め置き、理性的・合理的に消化できないものかと思うのです。
今、ウクライナでは本物の「戦い」が行われています。
一日も早く戦争が終わり、世界を平和ムードが包んで、映画が設定する敵は「侵略を企む宇宙人」や「完全な悪人」といった全人類の敵となる。そして、ラストは地球人としての正義が勝って万々歳という単純なストーリーを熱く楽しむ。映画という物がそんな風に作られ、そして人々はそういう映画をワクワクと楽しむ。そういう日が一日も早く訪れて欲しいと思います。
斜陽と言われる映画産業が娯楽として再びの栄華を誇るには、ストーリーはともかく、世界が平和であることは不可欠だと思います。「映画どころじゃない」人々に、「さて映画でもみるか」という日常が訪れるのはいったいいつになるのでしょうか?本当に暗いニュースばかりのこの頃です。では。