おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

この夏をヨーカドーに捧げ、られなかったけれど

 「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」

 いきなりですが、上は今年度本屋大賞を受賞した『成瀬は天下を取りにいく』の書き出しなのです。皆さんは読まれました?私は珍しく読みましたよ。活字離れ甚だしい私なのですが、貸してくれた人があったものですから。

 感想はそうですね、「これはあれだな、若い人達が読むラノベってジャンルのやつかな?あるいはマンガのノベライズ的な?」

 実際、読んでいる間中ずっと、昔、少年ジャンプに連載されていた『めだかボックス』というマンガが頭に浮かび続けました。面白くないわけではないし、スラスラ読ませる筆力もあると思うのですが。何となく感じる違和感のようなものは、きっと私が年を取っているからなのでしょう。羊羹が好きなのにグミを出された的な納得のいかなさが有るのだろうと考えています。

 さて。

 小説では大津市西武百貨店が閉店するのですが、何と言う偶然!私の住む弘前市ではあたかもデパートの如き存在であるイトーヨーカドーが、9月29日をもって閉店となるのです。

 小説の主人公は閉店までの1ヶ月間、毎日西武に通い、「夏を捧げる」のですが、さすがに私は、週一で食料品を買いに行くに留まりました。ヨーカドー、好きなんですけどね。

 そもそも、なぜ弘前市ではヨーカドーの位置付けが「スーパー」というより「デパート」に近いかと言いますと、8階建てという、商業ビルでは一番の高さだからと思われます。昭和の頃はエレベーターガールだっていたんですから。

 八階にはファミールという大食堂があって、ここからの岩木山の眺めはなかなかのものがありました。

 実は昨日、ヨーカドーに行って六階の屋上に行ってみたのです。

 この、屋上を特別に開放するというのも小説と同じで、こちらのポスターを見た時はちょっと優越感。「私、成瀬は〜、読んだもんね、同じだって知ってるもんね」と。ただ、六階屋上には特に思い入れは無かったので、ただ写真を撮ったというだけなのではありますが。

 ヨーカドーはどの階もお客様はたくさんいました。閉店セール中なので、何か掘り出し物があるかと、皆さん来店なのでしょうかね。かく言う私も、ヨーカドー内をうろついているうちに、「ヨーカドーの思い出に何か買おうかな」という気持ちになってしまいました。

 「何か必要な物、無かったかなあ?」

あれこれ不便を思い出しているうちに、「シャモジにご飯粒がくっつくのが嫌だった。そうだ、シャモジを買い替えよう」

 家庭用品売り場では20%OFFのセール中。『極』という印のついた、「ご飯がくっつかない」というシャモジを買いました。ひょっとしたら、私にとってこれが最後のヨーカドーでの買い物になる可能性もありますね。

 長年親しんだヨーカドーの閉店は本当に残念ですが、これも世の趨勢、いかんともしがたい。私ごときがいくら買い物したところで、閉店はすくえないのです。買ったのがシャモジであってもね。う〜ん、残念、無念!では。