無言の強制力を持つもの、同調圧力。各種メディアをみるに、日本はこの同調圧力が大変強い国のようです。言い方を変えると、日本人は同調圧力に弱いということになりますね。
昨日の記事でも載せた下の写真をご覧下さい。
言うまでもなく、撮影者は私です。
この日、1月14日は土曜日ということもあってか、東博は大変混み合っていました。当然、こちらの国宝の屏風の前にも大勢の人だかり。それなのに、他人の頭や後姿に邪魔されることなく、バッチリ撮れています。不思議でしょ?
この作品に限らず、六曲一双の屏風を端から端まで写真におさめるためには、対象からある程度の距離が必要です。
屏風を前に皆考える事は同じようで、近づいてじっくりみたいし、どうせなら全体の写真も撮りたい。そうすると面白いことに、その場の2〜30人?の思いが一致したのでしょう、誰も屏風を遮らない一瞬が生まれたのです。
そうなると、同調圧力なんでしょうね、誰も前に出られなくなるの。
おばさんはおばさんを呼ぶの法則で、見ず知らずのおばさんに、
「近づいたら駄目なんでしょうか?」
と尋ねられました。
「いえ、いいんですけど、皆さん遠慮するようで」
と答えたりして。
そして、後から入室して来る方で、あまり周りが目に入らないタイプの方がガラスに貼りつかんばかりに近寄ると、我もわれもと皆さん前に出たりして。
なるほど、日本人らしいなあと思いました。同調圧力ということもあるとは思いますが、「他の人の邪魔をしたくない」という、日本人の価値観も大いに関係したのだろうと思います。
そして、もう一点。『松林図屏風』には、「近寄ってはいけないのだろうか」と思わせるような、知名度やオーラがあったのだろう、そうも思いました。