町内会で月に一度行われている、健康作りのための「体操教室」。行ってきました。70代・80代に立ち交じり、置かれた場所で華麗に咲き誇ってきましたよ。(今、パソコンで「かれい」と打って変換したら、一発目に出たのは「加齢」。私のパソコンも置かれた場所で頑張っていると言うことでしょうか)
今日は、体と頭の両方の運動と言うことで、椅子に座って「自分の手と脚でじゃんけん」というのを教わりました。
まず、右手でグー・チョキ・パーを自分の好きな順に出します。脚は、膝をそろえた状態がグー、左右に開いてパー、前後に開けばチョキなのですが、常に右手が勝つように、出来るだけ同時に出すようにします。これを十回行います。さて、次が難しい。
今度は左手ですが、脚は先とは変わって、(脚が)勝つように出すのです。なかなか難しくてですね、それまでちょっと斜に構えたところがあった私だったのですが、本気で取り組んでいました。そして、本気で取り組んだ成果でしょうか、ある記憶がよみがえったのでした。
何十年も前に夫から聞いたことがあるのですが、昔津軽のじゃんけんは、今とは勝ち負けが逆だったそうなのです。なので、昔子供だった人達(60代以上ぐらいでしょうか)は、じゃんけんの勝ち負けの判断が、とっさにはつかないことがあるのだ、ということでした。
「この人は一体、何の言い訳をしているのだろう?」
夫の言っていることが良く理解できないままその場は軽く流し、そしてその後、その話題が出ることはありませんでした。ところが、不思議ですよね~、やっぱり体操が効いたんでしょうかねえ。私は好奇心が抑えられず、隣のご婦人に聞いてみたのです。
「あのう、昔津軽では、じゃんけんの勝ち負けが逆だったって聞いたことがあるんですが」
「私達子供の頃ねえ、そうなのよ。だから時々わかんなくなるんだって(笑)」
これは面白い!帰宅したら調べてみよう、そう考えつつ残りのプログラムを順調に消化し、「会館」で咲き誇った私なのでした。ああ、快感。
家に帰って調べました。
確かに戦前の津軽では、じゃんけんは グー < チョキ < パー < グー の順に強くなっていき、「津軽拳」という呼び名もあるそうなのです。そして、ネットでヒットしたあちらこちらからの情報によりますと、
グー(握りこぶし)=にぎり(飯)=米=農民、武士には負ける
チョキ(人差し指を突き出す)=槍=武士、公家には負ける
パー(手のひらを広げる)=風呂敷またはひら=笏(しゃく)=公家、(米を作れないので)農民には負ける
という論理なのでした。「にぎり」・「やり」・「風呂敷」「ひら」というのは、グー・チョキ・パーではなく、そういう呼称であったということです。ネットで拾った説明では、握り飯の農民と槍の武士は想像がつくが、風呂敷・ひらがなぜ笏、つまり公家を表すのか、そこは謎だということでした。
ところが、なんと言うことでしょう!やっぱり体操の効き目でしょうか、私はその謎の答えがひらめいたのです。
あくまで私の推量に過ぎないのですが、パーが公家を表すのは「風呂敷」の方ではなく、「ひら」だと思うのです。そして、手のひらの「ひら」は、津軽弁で「しゃもじ」を表す「ひら(ままひら)」と同音異義語なのです。
ほら、皆さんも「ああ」と思われたでしょう。しゃもじから「笏」を連想するのは、これはもう日本人のDNAと言っても過言ではないでしょう。なんの証拠も無い思いつきなのですが、私は強~い自信を持って書いています。その自信満々な態度が癪に障るなどとおっしゃらず、賛同して頂ければ嬉しいです。
そして、もう一つ。ずっと疑問に思っていたじゃんけんの謎も解けた気がするのです。
皆さんはチョキを出すときは、人差し指と中指を立てた、いわゆるVサイン型で出すと思うのですが、年配の方や、あるいは「おばあちゃん子」とか、親指と人差し指のピストル型(命名 私)のチョキを見たことはないですか?なんでそう言う風に出す人がいるのかなあって、漠然と不思議に思っていたんですよね。津軽拳の「武士」の説明で分かりました。「槍」は人差し指一本を突き出せば足りるわけですが、握りこぶしから人差し指を出すには、同時に親指も出す方がスムーズだった、そんなところだったのではないでしょうか。正解なのか間違っているのかは分かりませんが、自分の心持ちとしてはかなりスッキリしています。
ところで、皆さんはじゃんけんの際には「じゃんけんポン」という掛け声でしょうか。私は今は「じゃんけんポン」です。でも、子供の頃、私の故郷では「じゃんけんキッ」だったんですよ。小学生の時、津軽出身の先生に「キッって、何?」と笑いながら聞かれたことを覚えています。そしてその時から「キッってなんだろう」という疑問を頭の片隅に抱えているのです。いつか、例え独りよがりであったとしても、解決できる日は来るでしょうか。来る、いつかキッと来る、そう信じて楽しみに待ちたいと思います。では。