おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

電子書籍のいいところ・悪いところ

 今日もいきなり拙句の紹介から始めたいと思います。

 

  秋深し電子書籍に読む乱歩 takakotakakosun

 

 私は「Kindlepペーパーホワイト」(以下、K)を持っています。kを使って読んでいるのは、太宰・乱歩などの、著作権切れで「青空文庫」に収められた無料で読める小説、それも短編がほとんどです。

 kの最も便利な点は、字(フォント)の大きさを好きなように変えられるというところです。もともとド近眼なところに老眼も加わって、字を読むのが辛いお年頃になった私です。文庫本はメガネを外して30㎝ぐらいの距離だとよく見えるのですが、疲れます。その点、kは明るさも調整できるので、その日の目の調子(日によって違いますよね、同年代の方、そうでしょう?)や場所によって、読みやすい状態を作れるのはフォントに助かります。

 kは軽いのに、いくらでも「本」を保存しておくことが出来るので、鞄に入れておくと、出先で時間が出来たときに気軽に読むことが出来ます。かさばらないので旅のお供には最適かと思われます。そして、断捨離に目覚めて本も整理している場合、「かさばらなさ」は大きな魅力ですね。

 また電子機器らしい機能として、辞書機能があり、意味の分からない言葉に出会った時、瞬時に調べられるのです。紙の本の場合、「後で調べよう」と思ったまま忘れてしまうと言うことが良くあります。

 

 さて、kの欠点についてです。

「あれ、この人誰だったけ?」と前の方で出てきた人物やエピソードを忘れている場合(これがしょっちゅうなんですよ)、遡って探すのが非常にしにくいのです。紙の本だと、「だいたいこの辺で出てきたはず」と検討をつけたページを繰って見つけることが出来るのですが。

 この欠点はkを使い始めてすぐに気付きました。でも我慢出来ないという程の欠点ではありません。そして、他は特にこれという不満もなく使ってきたのです。

 ところが。

 上の方でも書きましたが、私は「青空文庫」や市の図書館などを利用して、読書はお金をかけずに楽しみたい派です。そんな私が珍しく最近、お金、それも1,935円という大金をはたいてダウンロードした本があるのです。

 

モッキンバードの娘たち (海外文学セレクション)

 

 購入のきっかけは、「はてなブログ」で書評を偶然読んだことです。その方(お名前失念)の文章の素晴らしさもあって、「面白そう、読んでみたい」と強烈に思いました。図書館にあったらすぐに借りに行こうと検索したのですが、残念ながらありませんでした。どうしようか、ちょっと高いなあ、迷いましたが「たまにはいいか。珍しいことに手を出してみるのも面白いかもしれない」、そんな風にも考えて買うことを決心しました。

 買うと決めたら、次に選択するのは「k」か「紙」か。悩みましたが、「今すぐに読み始めることが可能」という点が決め手となって、Kindle判で購入しました。

 とても面白い本でした。そして後悔しました。「紙の本で買えば良かった」と。

 ①「撫でたかった」と思ったのです。面白かった本は、読み終わった後、装丁をじっくり楽しみながら撫でる楽しみもあったと、気付かされたのです。 

 ②ああ、紙の本であれば誰かに貸せたのに(年代的なものもあると思うのですが、本は貸し借りする物、と思っています)

 ③時々本棚から引っ張り出して、気に入った表現や気になる箇所を探してパラパラしたかったなあ

 ④読んでいる途中、指が「ページをめくる感触」に飢えてた

 

 こんな感じで、紙の本で無ければ味わえない欲が出てきたのです。自分でもビックリです。今までだってkで読書してたのに、なんで急にそんな風に感じたのか。

 初めて読む作家で、新鮮さにワクワクしたから?久しぶりに長い物語を読んだから?いえ、恐らく、一番の原因は値段だと思います。1,935円も出して、そしてその分はあったと思っているけれど、もっと徹底的に「本」を味わいたかったのだと思います。そして面白かったけれど、多分二回目読むことはないと思います。紙の本であれば、読みたいという誰かにあげることだって出来て、二回目、三回目と読まれたかもしれないのに。結局はいつもの貧乏性が顔を出したという事でしょうか。

 

 以上、電子書籍には良いところもあり、物足りないところもあり。同様に紙の本にも一長一短があり、どちらがいいとも悪いとも言えないなあと思うのです。

 でも、少なくとも、「目のいい若い人」には、紙の本をすすめたいです。「これ、面白いよ」そう言って友達に貸したり、逆に「読んでみて」って押しつけられたり。そういうのって、まさに青春の一コマ。

 「これ、貸してくれるかな?」「いいとも」

 いいと思うなあ、本の友達、略して「本とも」。これは電子書籍にはない魅力なのです。では。