おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

東京の「間取り」

今週のお題「間取り」

 

 数年前になるが、東京に暮らす息子その2が「寮」を出てアパート暮らしを始めることになった。二十歳の彼は親が思っている以上に行動力があり、部屋探しも引っ越しも「一人で出来るもん」ということだったので、任せた。

 「1階だけど、俺が良ければいいよね。家賃的にそこしかないって感じ」

 まあ、男の子だし、日当たりもそんなに悪くないと言うし、第一、その頃は私も仕事が忙しい時期だったりして、独力で引っ越しを済ませてくれるなら大助かりだった。

 「そこに決めようと思うんだけど、洗濯機置き場が無いんだよね」

 「そんなバカな!じゃあ、洗濯はどうするの?毎回、コインランドリー?」

 「いや、洗濯機は外置き。隣りもそうしてる」

 自慢じゃ無いが、私は青森県以外で暮らしたことがない。洗濯機置き場の無い間取りなんて、洗濯機が外置きなんて、そんな事って・・・。

 東京暮らしの長くなった息子その1に聞いてみると、

 「東京じゃ良くあるよ」という。そうか、良くあるのか。

 吹雪の晩に凍えながら、脱水が終わっても放置していたためにバキバキに凍った洗濯物を抱える息子の姿を想像すると、不憫を通り越して笑える。ところが、残念(?)なことに、東京には吹雪の晩はないようだ。洗濯機外置きという間取りでも、水道凍結の心配も無いだろうし。問題は無いのだろう。

 ところが。

 一昨年だったと思う。関東に、もの凄い台風が上陸することになった。息子達にラインで停電や断水に備えるよう連絡したところ、息子その2から質問が来た。

 「洗濯機どうしよう?大丈夫かな?」

 「そうね・・・、とりあえず、水を目一杯入れて出来るだけ重くして。断水したときに使えるし」

 そんなやりとりがあったことを記憶している。幸い、何事もなく済んだが。

 

 地方都市で暮らしていると、東京の家賃の高さに驚かされるが、それ以上に「こんな間取りあり!?」というビックリがある。結局はお金が物を言うという事なのだが、高い家賃が出せなければ、信じられないほど狭かったり、へんてこりんだったり、そんな間取りで我慢するしか無い。それが東京。

 立地と家賃を勘案すれば、洗濯機置き場にセンタクの余地は無い、それが東京なのである。では。